【MLB】田澤純一が語る戦力外通告後の思い 今は「1日でも早くメジャー昇格を」

タイガース傘下に所属し、メジャー昇格を目指す田澤純一【写真:佐藤直子】

マーリンズで成績が奮わず“クビ”、6月からタイガースで再出発

 渡米10年目にあたる今季、マーリンズで開幕を迎えながら5月には戦力外となった田澤純一投手。現在は、タイガースとマイナー契約を結び、傘下3Aトレドでプレーしながら昇格に向けてアピールを続けている。2013年にはレッドソックスの一員としてワールドシリーズ優勝を経験。当時クローザーとして活躍した上原浩治(現巨人)につなぐセットアッパーとして世界一に大きく貢献した。フリーエージェント(FA)となった2016年オフにマーリンズと2年契約を結んだが、怪我などで思うような成績が残せず。昨季は55試合に投げて3勝5敗、防御率5.69、今季は5月17日に戦力外通告を受けるまで22試合に投げて1勝1敗、防御率9.00という数字だった。自由契約となった後、6月3日にタイガースとマイナー契約を結んだ右腕が、現在の率直な気持ちをリポートしてくれた。

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 皆さん、ご無沙汰していまいました。タイガースの田澤純一です。現在は3Aトレドの所属で、ここからメジャー昇格を目指しています。

 ご存じの通り、5月17日にマーリンズを戦力外となりました。簡単に言えば、クビです。もちろん悔しかったですが、今年の成績では仕方ないとも思います。いいピッチングができる時もあれば、大量失点してしまうこともあり、不安定なパフォーマンスが続いてしまいました。

 原因はいろいろあると思います。球団首脳陣と自分の起用法やチームの進む方向性について上手くコミュニケーションが取れていなかったり、自分の目指す投球スタイルや自分の状態を捕手に伝えきれなかったり。それでも最後に投げる球を決め、実際にボールを投げるのは自分。やはり、こういう数字になった責任は僕自身にあると思います。

 自由契約になった後は、マイアミでトレーニングを続けていました。主に滞在していたマンションのジムを使いながら、いつどこから声を掛けてもらっても大丈夫なように体の準備は進めていました。正直、契約に興味を示してくれるチームがあるのか、まったく予想がつかず。でも、自分がどうこうできることでもないので、すべては代理人のネズ・バレロさんに一任し、トレーニングに専念する日々でした。

 幸い、興味を示してくれた球団がいくつかあったようです。感謝の気持ちでいっぱいです。その中から僕がフィットするだろう、と代理人が最終候補として絞ってくれた中の1球団がタイガースでした。チーム事情や環境などを考え、マイナー契約を結ばせてもらいました。

1日でも早くメジャー昇格の声が掛かるように…

 タイガースと契約を結んだ後は、まずスプリングトレーニングが行われるフロリダ州レイクランドにある球団施設に向かいました。滞在していたマイアミから車で4時間以上のドライブです。その距離、約400キロ。僕の出身地でもある横浜からだと、ちょうど仙台あたりが400キロだとか。さすがに少し長かったです……。

 キャンプ施設は2017年にリモデルされたばかりで、とても立派な施設でした。僕が滞在した時は、ちょうど今年のドラフト時期と重なり、ルーキーリーグが始動したばかりで、20歳前後の若い選手たち50?60人くらいと毎日一緒に練習をしました。途中から加わることになった僕に対しても球団の方々はとても親切で「何か分からないこと、必要なことがあったら、遠慮なく言ってほしい」と声を掛けてくれました。

 トレーニング施設の充実ぶりは、僕が知る中でも屈指だと思います。練習メニューもしっかりと決まっていて、僕がオフから続けているトレーニングも考慮しながら、自主性に任せる部分と球団としてやってほしい部分とで、うまくメリハリがついている印象です。

 フロリダではブルペンに2回入り、フリー打撃登板を1回、紅白戦で1回投げて、19日から3Aに合流しています。3Aにはレッドソックスで一緒にプレーした捕手ジャロッド・サルタラマッキアがいました。みんな、いろいろな球団を渡り歩いています。

 僕はここまで(26日現在)3試合に登板しました。2試合を無失点に抑えた後、3試合目に3失点(自責2)してしまいましたが、自分がここでやることは、とにかく結果を出すこと。幸い、肩肘を含め体の状態はいいですし、自分が投げるボール自体も納得のいくものが増えています。しっかりゼロに抑える投球を重ねて、1日でも早くメジャー昇格の声が掛かるように頑張ります。

 もちろん、クビになる経験はしないに越したことはありません。でも、起きてしまったことは事実として受け止め、その経験を無駄にしないように、心機一転、新たなスタートを切るつもりで投げ続けます。マイナー生活はこれが初めてではないですからね。また、近々リポートをお届けしたいと思います。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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