【GT500途中経過】カルソニックとMOTULのGT-R同士のトップ争い。ピット作業時間が明暗を分けた前半戦

 スーパーGTでは初めての試みとなる富士スピードウェイでの500マイルレース。177周m807kmという長い距離を真夏の8月に走りきるという過酷な戦いが、ついに決勝レースを迎えることになった。レースは半分の89周を過ぎたところで、カルソニック IMPUL GT-Rがトップを奪い、首位を走行している。

 今回のレースはドライバー交代を伴う最低4回のピットインが義務化されている。つまり、4ピット/5スティントが基本戦略となるため、スタートを担当するドライバーが3スティント、2スティント目を担当するドライバーが4スティント目を受け持つのが基本パターンとなる。

 アクシデントやトラブルなどで予選に参加できなかったZENT CERUMO LC500、KEIHIN NSX-GTも決勝日にはマシンを修復して出走可能となり、GT500は全15台がグリッドに並んだ。GT300はZENTのトラブルによる衝突を受けたModulo KENWOOD NSX GT3がマシンの修復が不可能とのことで、今回の出場を取りやめている。

 予選日と合わせて2日連続のフライトとなった、エアロバティックス・パイロット室屋義秀選手によるフライトパフォーマンス、そして静岡県警の白バイとパトカーによるパレードランの後、いよいよレースがスタート。

 スタート時の気温は31度、路面温度は47度で、まだまだ気温路温ともに上昇しそうな気配のなか、GT500は全車クリーンスタート。スタート直後はポールポジションのMOTUL AUTECH GT-R、2番手のフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rのペースがよく、3番手以下を序々に引き離し始める。

 3番手のau TOM’S LC500は前の2台から1周あたりコンマ7〜8秒離され、3番手以下がトラフィック状態に。レース6周を終えたところで前日のクラッシュによって年間3基目のエンジンを投入することになってしまったZENT CERUMO LC500が5秒ストップペナルティを受けて、すぐに消化。

 9周目には5番手を走行していたCRAFTSPORTS MOTUL GT-RがGT300とのからみもあったか、コースオフをして7番手に後退。また4番手まで順位を上げていたWedsSport ADVAN LC500も10周を過ぎて7番手まで順位を下げてしまった。路面コンディションにタイヤが合っていないのか、WedsSportはペースが上がらない。

 12周目には1コーナーで他車の接触を受けた14番手RAYBRIG NSX-GTがハーフスピンするも、すぐに体制を立て直しコースに復帰。コース上の各所で順位変動やアクシデントが起こる目まぐるしいファーストスティントとなる。

 18周目にはARTA NSX-GTがWedsSportをパスして7番手に浮上。同じタイミングで5番手まで順位を上げたカルソニック IMPUL GT-Rのペースが速く、4番手KeePer TOM’S LC500とテール・トゥ・ノーズに。

 20周目にはカルソニックがKeePerをパスして4番手に浮上。トップ争いはMOTUL GT-Rが2番手フォーラムエンジニアリングを序々に引き離して20周終了時点で6.2秒のギャップを築く。

 23周目にはペースが落ち始めた2番手フォーラムエンジニアリングを3番手auが捉え、1コーナーでauがインを奪いオーバーテイク。auは2番手に浮上して、トップMOTUL GT-Rとの差は7秒。

 ペースが厳しくなってきたフォーラムエンジニアリングはカルソニックにも捉えられ、27周目に4番手に後退。カルソニックが3番手に上がる。8番手のWedsSportも28周目にDENSO KOBELCO SARD LC500、RAYBRIGにかわされ10番手まで後退。ヨコハマタイヤ勢が厳しい状況になる。RAYBRIGはランキングトップを争うDENSOを最終コーナーからの立ち上がりでかわして8番手にアップ。タイヤが厳しくなったか、WedsSportは29周目にピットイン。

 トップ争いは2番手auが序々にトップとの差を詰め、30周目にはMOTUL GT-Rに3秒差まで接近。翌周には1.8秒差までギャップが縮まったところで、MOTUL GT-Rがたまらずピットイン。auは首位に上がる。フォーラムエンジニアリングも同じタイミングでピットに入っている。

 34周目には3番手カルソニックがピットイン。トップに立ったau関口はここでさらにペースアップして2番手KeePer TOM’S LC500とのギャップが広がっていき、9秒差になる。ここから多くのGT500マシンがピットストップに入り、順位が入り乱れる。

 37周目にトップのauがピットイン。しかし、ピット作業で左リヤタイヤの装着に手間取り、多くのチームが40秒台後半の停止時間のなか59.1秒の時間を費やしてしまい、コースインの際にはMOTUL GT-Rに順位を奪われてしまう。

 全車最初のピットインを終えた39周目の順位は、トップがMOTUL GT-R、2番手にはカルソニック、3番手フォーラムエンジニアリングと、ニッサンGT-Rがトップ3を独占。4番手にau、5番手にKeePer、6番手にARTAという展開で2スティント目に入っている。

 41周目にはトップMOTUL GT-Rの背後にカルソニックがコンマ3秒差に付き、トップ争いが過熱。ここに3番手のフォーラムエンジニアリングも追いつき、GT-R3台によるトップ争いに発展。ニッサンファンの悲鳴が聞こえるような緊張感が漂う。

 しかし、50周を過ぎてから3番手フォーラムエンジニアリングがトップ2台から離され始め、4番手auに追いつかれる展開に。トップ2台、そして3,4番手争いが白熱する。

 56周目のストレートではカルソニックがMOTUL GT-Rのスリップに入り、アウトから並んで1コーナーへ。そのまま2台は並走してコカコーラ・コーナーでインを奪ったカルソニックがトップを奪い、サインガードの星野一義監督が両手を叩いて喜ぶ姿がモニターに映る。

 57周目には8番手走行中のRAYBRIGジェンソン・バトンがダンロップコーナーでのイエローフラッグ2本振動区間でGT300をオーバーテイクしてしまい、10秒のペナルティストップを受けてしまう。

 58周目には3番フォーラムエンジニアリングと4番手auが接近戦。auが何度かストレートでサイドで並びかかるなか、60周目にはau中嶋一貴がフォーラムエンジニアリングのJ-P.デ・オリベイラのインを突いて3番にポジションアップを果たした。

 au中嶋一貴はそのまま64周目に2番手のMOTUL GT-Rを捉え、ストレートでインを奪って2番手に浮上。トップのカルソニックとブリヂストン勢がワンツーを形成する。後方では68周目にKeePer平川亮が4番手のフォーラムエンジニアリングをレクサスコーナーでインを奪ってパス。トップカルソニック、2番手au、3番手MOTUL GT-R、4番手KeePer、5番手フォーラムエンジニアリングと、GT-RとLC500がサンドイッチ状態に。

 69周目には3番手MOTUL GT-Rが2回目のピットイン。フォーラムエンジニアリングも続く。71周目にはトップのカルソニックがピットイン。GT500は2回目のタイヤ交換のピークを迎える。

 74周目にはauがピットイン。しかし、再び右リヤタイヤの脱着に時間が掛かってしまい、1分5秒8の停止時間。コースに戻った時には実質4番手に順位を落とし、その後、77周目に77周目にピットインにしたKeePerが50秒2の素早い作業時間でau、フォーラムエンジニアリングの前の3番手でコースに戻り、2回目のピットインで順位が入り乱れる展開になる。

 その後、79周目にはペースの速いauがKeePerをダンロップコーナーのアウトから並び掛かり、オーバーテイク。auが3番手に上がる。

 83周目での順位はトップのカルソニックと2番手MOTUL GT-Rの差が4.7秒、2番手と3番手auが14.8秒、3番手と4番手KeePerのギャップが0.7秒と、2×2の状態で上位争いが続いている。レースも約半分を終えたところで、GT500はリタイアが0という珍しい展開。GT300は55号車ARTA BMW M6 GT3が2番手を33秒引き離す独走状態になっている。

 レース開始から2時間22分を過ぎてレース距離177周の半分、89周を過ぎて、レースは後半戦へ、ここからは気温路温も下がり、またタイヤ選択が難しい展開を迎えることになる。

■2018スーパーGT第5戦富士 GT500決勝途中結果(103周終了時点)

Pos. No. Team Car Driver Tire WH Gap

1 12 TEAM IMPUL カルソニック IMPUL GT-R 佐々木大樹
J.マーデンボロー BS 36kg 103Laps

2 36 LEXUS TEAM au TOM’S au TOM’S LC500  中嶋一貴
関口雄飛 BS 30kg 0’18.871

3 1 LEXUS TEAM KeePer TOM’S KeePer TOM’S LC500 平川亮
N.キャシディ BS 58kg 0’28.828

4 17 KEIHIN REAL RACING KEIHIN NSX-GT 塚越広大
小暮卓史 BS 50kg 0’40.621

5 8 AUTOBACS RACING TEAM AGURI ARTA NSX-GT 野尻智紀
伊沢拓也 BS 48kg 0’41.693

6 24 KONDO RACING フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R J-P・デ・オリベイラ
高星明誠 YH 14kg 0’43.181

7 6 LEXUS TEAM LEMANS WAKO’S WAKO’S 4CR LC500 大嶋和也
F.ローゼンクヴィスト BS 58kg 1Laps

8 100 TEAM KUNIMITSU RAYBRIG NSX-GT 山本尚貴
J.バトン BS 64kg 1Laps

9 38 LEXUS TEAM ZENT CERUMO ZENT CERUMO LC500 立川祐路
石浦宏明 BS 52kg 1Laps

10 39 LEXUS TEAM SARD DENSO KOBELCO SARD LC500 H.コバライネン
小林可夢偉 BS 70kg 1Laps

11 19 LEXUS TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN LC500 国本雄資
山下健太 YH 26kg 1Laps

12 23 NISMO MOTUL AUTECH GT-R 松田次生
R.クインタレッリ MI 62kg 1Laps

13 16 TEAM MUGEN MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤英紀
中嶋大祐 YH 16kg 2Laps

14 64 Epson Nakajima Racing Epson Modulo NSX-GT B.バゲット
松浦孝亮 DL 6kg 2Laps

15 3 NDDP RACING with B-MAX CRAFTSPORTS MOTUL GT-R 本山哲
千代勝正 MI 18kg 3Laps

© 株式会社三栄