アルセロール・ミッタル、イルバ買収に遅れ イタリアの政権交代が影響

 アルセロール・ミッタル(AM)が予定しているイタリア高炉大手のイルバ買収が遅れている。欧州当局からは5月に認可を得られたものの、その直後にイタリアで政権交代があり、新たな条件を課されたことが決着を長引かせている。AMは決定が9月半ばまで長引く可能性があるとしている。

 イタリアのコンテ政権はイルバでの投資や雇用の拡大など、伊政府にとりさらなる有利な条件を引き出そうとAMに求めている。AMはイルバを年産800万トンへ増産することや研究開発拠点を置くことを表明してきたが、さらなる「譲歩」を迫られている格好だ。

 イルバは高炉一貫のタラント製鉄所と、単圧の冷延拠点で電気亜鉛めっき鋼板(EG)などを造るノーヴィ・リーグレ工場とブリキなどを造るジェノバ工場がある。AMは独占禁止法に当たらないよう伊リローラーのマルチェガリアを共同買収のパートナーから外したほか、ルーマニアやチェコの高炉、ベルギーのブリキ工場やルクセンブルクのEGL、イタリアやマケドニア事業を手放すことを確約し、欧州委員会の承認を得ていた。

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