被爆体験 語り継いで 朗読ボランティア募集 追悼祈念館 高齢化見据え

 被爆者が高齢化する中、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)は被爆体験記の朗読ボランティアの2期生を募集している。厚生労働省が本年度から証言者や朗読者の派遣費を負担する事業に乗り出すなど、体験者に代わり原爆の実相を「語り継ぐ」活動が注目されている。
 同館は被爆体験の継承を目的に2011年度に初めてボランティアを募集。2年間の研修を経た約70人が1期生として14年度から活動を始めた。15年度には「被爆体験を語り継ぐ 永遠(とわ)の会」として組織化。同館所蔵の手記などを館内や派遣先で朗読する回数は年々増え、17年度は計約250回を実施した。現在のメンバーは被爆者を含む40~80代の男女計47人。
 厚労省は、被爆者の体験や思いを語り継ぐ「家族・交流証言者」や朗読ボランティアらの無料派遣事業を本年度から開始。永遠の会メンバーの派遣も8月9日時点で36回を数え、昨年度の全39回を上回るペースだ。厚労省は来年度、事業を拡充する方針を示しており、被爆者が少なくなる時代の継承として注目が集まる。
 2期生育成講座は10~3月の全11回。アナウンサーが指導する発音・発声練習や1期生と合同の朗読実践に加え、長崎原爆を理解するため体験講話を聞いたり被爆遺構を巡ったりする。高校生以上が対象で50人程度を見込む。11回のうち8回の受講が修了条件で参加無料。同館は「後世に被爆の実相を残す一つの手段として多くの人に協力してもらいたい」としている。
 応募用紙は同館やホームページから入手可能。必要事項を記入し持参か郵送、ファクス(095・814・0056)などで申し込む。9月21日必着。問い合わせは同館(電095・814・0055)。

朗読する永遠の会のメンバー=2018年5月、長崎市平野町の長崎原爆資料館(国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館提供)

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