城山小の被爆継承紹介 原爆殉難者慰霊会 記念冊子「平和」刊行

 長崎原爆で甚大な被害に遭った旧城山国民学校(現・長崎市立城山小)の死没者を慰霊する「城山小原爆殉難者慰霊会」(内田伯会長)が、被爆70年記念冊子「平和」を刊行した。被爆児童を中心に編成された「原爆学級」に通った当時の子どもたちの手記や、現在の城山小児童の取り組みを紹介。平和教育や被爆の継承に生かす。
 旧城山国民学校校舎は爆心地から500メートルに位置し、児童ら1400人以上が死亡。2016年に国指定史跡「長崎原爆遺跡」の一つに指定されている。
 「平和」は、被爆30年に合わせ作成された「被爆三十年誌」を改訂した内容で8月に完成。被爆体験記などはそのまま受け継ぎ、新たに原爆学級の卒業生7人による手記や城山小同窓生の思いなどを加えた。旧城山国民学校の死没者名簿や、城山小が1951年から毎月9日に続けている平和祈念式などの継承活動も紹介している。
 被爆者が高齢化する現状を見据え、慰霊会が地域の協力を得ながら約2年をかけて千部を作成。児童や同窓生らに配布した。B5判186ページ。
 9日は、慰霊会の9人が長崎市役所を訪れ、田上富久市長に「平和」30冊を寄贈。市は平野町の長崎原爆資料館、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で公開する。本田魂副会長は「語り部も高齢化し、記憶が忘れられてしまう。子どもたちの平和教育の資料に使ってほしい」と話した。

被爆70年記念冊子「平和」を手にする本田副会長=長崎市役所

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