メクル第314号 「移動図書館」 諫早で活躍中! 「どんぐり号」と「本吉」

 トラックのような車に多くの本を積んでいる「移動(いどう)図書館」が、諫早(いさはや)市で2台活躍(かつやく)しています。名前は「どんぐり号」(諫早図書館)と「本吉(ほんきち)」(たらみ図書館)です。図書館からはなれた場所に暮(く)らす子どもやお年より、障害(しょうがい)のある人たちに本をとどけています。
 「どんぐり号」は約30年前の1989年10月生まれです。車の内部と外側に本だながあり、絵本や小説など子どもも大人も楽しめる約4千冊(さつ)がならんでいます。車いすで昇(のぼ)り降(お)りができるリフトも付いています。西諫早地区から東側の福祉施設(ふくししせつ)や幼稚(ようち)園など37カ所で月2回、本の貸(か)し出しや返却(へんきゃく)などのサービスを行っています。2017年度の年間貸出数は約3万3千冊です。
 9月中旬(ちゅうじゅん)の朝、童謡(どうよう)「どんぐりころころ」のメロディーを流しながら、「どんぐり号」が姿(すがた)をあらわすと、有喜保育(うきほいく)園(有喜町)の20人が手をふってむかえました。職場(しょくば)体験中だった長崎日大中2年の上野愛華(うえのあいか)さん(13)が貸し出しを担当(たんとう)。「本を運んだり、ならべたりする仕事はいそがしく大変」と話しました。
 同じ日の午後、諫早特別支援(しえん)学校(真崎町)に行くと、小学6年の勝田(かつた)飛羽(しょう)君(11)と岩永(いわなが)純心(こころ)さん(11)が待っています。「クイズの本を読むと、分からなかったことが分かる」と勝田君。岩永さんは動物の生態(せいたい)を紹介(しょうかい)する厚(あつ)い本を借り、「休み時間にゆっくり読むのが好き」と笑顔を見せました。
 多良見町や飯盛(いいもり)町などを回る「本吉」は1997年6月生まれです。「どんぐり号」より少し小さい車に約2千冊を積み、小、中学校など29カ所を月2~4回おとずれています。17年度は約1万冊を貸し出し、前の年より増(ふ)えているそうです。
 9月下旬の午後、伊木力(いきりき)小(多良見町)では2、4、6年生が次々と車に乗りこみ、本を選んでいました。人気は、歴史上の武将(ぶしょう)たちの伝記や絵本、妖怪(ようかい)が活躍する物語でした。
 4年の田中(たなか)紅蘭々(くらら)さん(9)は「図書館に行くことは少ない。本は読み始めると、はまるので楽しい」と話しました。移動図書館を担当する司書たちは、利用者のリクエストを聞いて、定期的に本を入れかえています。  

移動図書館「どんぐり号」で本を選ぶ児童たち=諫早市、諫早特別支援学校
好きな本を借りて、笑顔いっぱいの児童たち=諫早市立伊木力小

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