防災推進国民大会、地区防災計画など紹介 山本担当相、災害教訓の共有を重視

そなエリアを視察し、記念撮影に応じた山本担当相(中央)

内閣府は13~14日にかけて「ぼうさいこくたい2018」こと今年の防災推進国民大会を東京都江東区の東京ビッグサイトと東京臨海広域防災公園「そなエリア」で開催した。今年は東京都の「防災展2018」と同時開催。2日に就任した山本順三・防災担当大臣や東京都の小池百合子知事も出席。展示や地区防災計画紹介などのセッションが開催された。

13日のビッグサイトでのオープニングセッションで愛媛県出身の山本担当相は、今年起こった一連の災害の中で平成30年7月豪雨について「厳しい状況の後、復興にあたった被災者の苦労と取り組みを目の当たりにした」と振り返った。そして「防災・減災に向けできる限りのことをしなければならない。政府一丸となり国民の生命・財産を守るため、教訓をふまえ対策を見直し、国土強靭化に取り組む」と語った。自助・共助の重要性にも触れ、「経験を共有し、準備を進め減災に結び付けたい」とした。

山本担当相はそなエリアを視察後に取材に応じ、「被災を経験していない人がなかなかその怖さを学べる機会がない。災害にどんな対策を立て対応するかは学習が大事になる」と述べ、災害への理解を深める「ぼうさいこくたい」の意義を説明。「官民連携を進め、自助・共助・公助の理解を深めたい」とした。

オープニングに出席した小池知事は、タイムライン策定支援など今後の都の取り組みを説明した

小池知事は首都直下地震が30年以内に起こる可能性が70%とされていることなどに触れ、「無電柱化や不燃化などハード面のほか、ソフト面でも取り組みが必要」と述べ、都が出している防災ガイドの「東京防災」や女性向けの「東京くらし防災」のほか「東京都防災アプリ」をPR。9月に発表した都の防災政策の総点検と今後の取り組みについて「(水害対策で有効な)タイムラインについて区市町村とも連携を進める。『備えよ常に』の精神で今後も取り組んでいく」と説明した。

寸劇で地区防災計画をわかりやすく説明

セッションの一つとして13日、「あってよかった!みんなの地区防」が開催された。内閣府から地区防災計画について説明。地区防災計画とは地区レベルで住民が自主的に定める防災計画で、市区町村に提案しその地域防災計画にも反映できる。4月1日現在で地域防災計画に反映されたのは40市区町村・248地区で、素案作成に向け活動中なのは123市区町村・3427地区あることが報告された。

また兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科准教授の阪本真由美氏が、携わった岐阜県下呂市落合地区の地域防災計画を紹介。ほぼ全世帯に要支援者がいたり、大部分の区域が土砂災害警戒区域であったりなどの苦労を振り返った。香川大学IECMS地域強靭化研究センター特命准教授の磯打千雅子氏は同じく愛媛県松山市高浜地区の地区防災計画に触れ、平成30年7月豪雨の際の避難に生かされたことを語った。

その後のパネルディスカッションで松山市地域防災課の芝大輔氏は全41地区で地区防災計画を策定していることを説明。平成30年7月豪雨対応にもつながったことを評価。今回の経験を「地区防災計画と地域防災計画の改善につなげていく」と語った。また、地区防災計画をわかりやすく説明する寸劇も行われた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介

 

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