打力で広島優位 巨人は菅野の使い方がカギ…CSファイナルS展望【セ編】

広島・丸佳浩と巨人・坂本勇人【写真:荒川祐史、Getty Images】

打撃で広島が巨人を圧倒 巨人は投手成績で上回るがリリーフは…

 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは1位・広島と3位・巨人の顔合わせとなった。

 高橋監督が辞任を表明してからの巨人は、別のチームになったかのように投打がかみ合い、滑り込みでCSに入ったそのままの勢いでヤクルトを沈め、ファーストステージを勝ち上がった。両チームのデータを比較し、ファイナルステージを占う。

〇レギュラーシーズンのチーム成績

打撃
   広島 巨人
打率 .261 .257
得点 721 625
安打 1275 1255
本塁打 175 152
犠打 109 96
四球 599 465
三振 1143 1120
盗塁 95 61
出塁率 .349 .325

投手
   広島 巨人
防御 4.12 3.79
勝利 82 67
敗戦 59 71
セーブ 38 25
HP 126 84
完投 3 21
完封 6 16
投球回 1282 1279
被安打 1267 1246
被本塁打 138 144
奪三振 1041 1040
失点 651 575

〇広島VS巨人のチーム成績(25試合広島17勝7敗1分)

   広島 巨人
打率 .274 .254
得点 136 118
安打 234 217
本塁打 42 28
四死球 117 96
三振 192 179
盗塁 24 12
防御率 4.07 5.24

 打撃では各部門で広島が巨人を上回る。犠打、盗塁なども圧倒的に多い。投手成績では、菅野という絶対的エースを持つ巨人が優位だが、セーブとHPは広島が上で。先発投手陣は巨人、ブルペン勝負なら広島が優位か。

田中、丸、鈴木が巨人戦で爆発、巨人は坂本、長野が広島戦に良績

〇主力選手の打撃成績(巨人は対広島、広島は対巨人)

広島

田中 .314 5本塁打13打点7盗塁 21三振18四死球
菊池 .245 3本塁打7打点3盗塁 18三振15四死球
丸  .360 8本塁打22打点5盗塁 21三振25四死球
鈴木 .306 9本塁打19打点1盗塁 16三振19四死球
松山 .246 2本塁打12打点1盗塁 9三振5四死球
野間 .310 1本塁打8打点4盗塁 15三振9四死球

巨人

坂本 .388 3本塁打13打点2盗塁 12三振8四死球
マギー .250 5本塁打24打点0盗塁 15三振11四死球
岡本 .274 7本塁打17打点0盗塁 20三振12四死球
阿部 .129 1本塁打3打点0盗塁 11三振7四死球
亀井 .207 1本塁打6打点0盗塁 12三振5四死球
長野 .308 2本塁打10打点2盗塁 13三振7四死球

 広島の丸と鈴木は2人で巨人戦17本塁打。打率も3割を超え、ポイントゲッターとなっている。田中も相性がよく、7盗塁と自慢の足も存分に使っている。巨人はこの3人をどう抑えるか。

 巨人は坂本と長野が対広島戦3割を超える。若き主砲・岡本はまずまず。マギーは打率は低いものの、広島戦での打点は岡本を上回っており、ここ一番では頼れる打者だ。広島投手陣の主力はジョンソン以外右腕ばかりだが、阿部と亀井の左打者は相性が悪い。

ブルペンは巨人に相性いい投手が揃う広島 巨人は先発の頑張りが頼り

〇主な投手の対戦成績(巨人は対広島、広島は対巨人)

広島

大瀬良 防2.25 5試合2勝1敗 32回 23奪三12失点
野村 防5.22 5試合2勝2敗 29回1/3 15奪三19失点
ジョンソン 防3.50 3試合2勝0敗 18回4奪三8失点
岡田 防4.38 5試合3勝1敗 24回2/3 18奪三13失点
一岡 防1.42 14試合0勝0敗2S8HP 12回2/3 17奪三3失点
フランスア 防1.10 10試合1勝0敗1S5HP 16回1/3 26奪三4失点
中崎 防4.38 13試合1勝1敗7S2HP 12回1/3 9奪三7失点

巨人

菅野 防2.79 6試合3勝2敗 42回 46奪三13失点
今村 防5.31 4試合2勝0敗 20回1/3 15奪三13失点
吉川光 防6.63 5試合0勝1敗 19回 11奪三14失点
メルセデス 防6.00 2試合0勝1敗 12回 5奪三8失点
上原 防5.87 8試合0勝2敗 0S 2HP 7回2/3 6奪三5失点
畠 防3.00 2試合0勝0敗0S 1HP 3回 3奪三1失点
山口俊 防6.62 5試合2勝2敗 1HP 17回2/3 19奪三14失点

 広島は一岡、フランスアが巨人戦の防御率1点台。ここには掲載していないが、アドゥワも巨人戦の防御率2.61、ジャクソンも2.35と悪くない。相性がよくないのは、5試合で防御率10.80の今村ぐらいか。

 巨人は菅野と登板数が少ない畠以外は防御率は5点、6点台と広島打線に打ち込まれている。ただ、今村は防御率5点台ながら2勝0敗と相性は悪くない。現在、菅野の次に安定感のあるメルセデスも、広島戦に限っては2試合しか登板していないが、今のところ良績はない。

 数字からは広島の優位は動かないが、昨年もファイナルステージでDeNAの勢いに圧倒され、2勝4敗(アドバンテージ1勝を含む)で敗退。巨人はCSファーストステージで菅野のノーヒットノーランという完璧な勝利を収め、広島も警戒を強めているだろう。切り札の菅野は戦況に余裕があるなら第4戦、初戦、第2戦を落として後がなくなった場合は第3戦に中4日で先発か。いずれの場合でも、菅野で1勝を見込むとしても、その後の試合でブルペン待機があるのか。使いどころが難しい。

 巨人が初戦を取ればアドバンテージを解消でき、広島が取ればアドバンテージ含め2勝0敗と圧倒的優位に立つ。まずは初戦が大きなポイントとなりそうだ。(Full-Count編集部)

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