五島高2年生 駆除方法を研究 有害リスから島守れ

 長崎県五島市福江島で繁殖し、ツバキなどの樹皮や果実の食害を引き起こす特定外来生物クリハラリス(タイワンリス)について、長崎県立五島高の生徒が調査に取り組んでいる。「島の生態系を守りたい」と始め、夏以降に仕掛けたわなで4匹を捕まえた。駆除に取り組む市の担当者や研究者の助言も受け、さらに効果的な捕獲方法を模索している。

 研究しているのは杉侑亮さん(17)、田口克樹さん(17)ら2年生5人。同校の総合的な学習「バラモンプラン」のテーマを探す中で、五島市内の有害鳥獣問題に関心を持ったという。

 7月にインターネットなどで調べ始め、対策や捕獲に取り組む市農業振興課を訪問。個体数や生息域、現状の対策などを学んだ他、担当者らの案内でリスが多く生息する鬼岳周辺を訪れて被害状況を確認した。

 杉さんと田口さんは8月に市の安全講習会を受けた上で、同市下大津町の八幡神社の敷地内にわな4個を設置。2週間ほどで計4匹がわなにかかり、市が引き取った。先月末は、クリハラリス調査のため五島を訪れた森林総合研究所九州支所(熊本市)の安田雅俊・森林動物研究グループ長と会い、リスの生息の有無を判断するために痕跡の見つけ方や、捕獲効率を高めるわなの設置方法などについてアドバイスを受けた。

 生徒たちは今後、録音した鳴き声をスピーカーで流してリスを誘う方法など、新たな捕獲方法も試していく考えという。田口さんは「ツバキなど大切な五島の自然を守っていきたい」、杉さんは「自分たちの活動を通じて他の市民にもリスの問題を知ってもらい、多くの人に捕獲に参加してもらいたい」と話している。

 ■ズーム/クリハラリス

 東南アジアや台湾原産。国内では動物園などから逃げ出した個体が繁殖した。県内では壱岐市にも生息。繁殖力が強く環境省が2005年、特定外来生物に指定。五島市福江島では1990年代から鬼岳周辺で目撃され、徐々に生息域を拡大中。年2000匹前後が捕獲されるが、島内には1万匹程度いるとみられる。

五島市の福江島に生息するクリハラリス(五島自然環境ネットワーク代表、上田浩一さん提供)
八幡神社の敷地内に設置したわなの前で、安田さん(右)から指導を受ける田口さん(左)と杉さん=五島市下大津町

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