東京地区の厚板母材市況、上伸基調が鮮明に 品薄化、東鉄値上げも後押し

 東京地区における厚板母材市況の上伸基調が鮮明になった。

 厚板は、建築鉄骨や橋梁・土木といった建材分野および建機・産機、トラックといった製造業分野ともに需要環境が底堅い一方、メーカーのロールタイトや物流ネックなどの影響でデリバリー遅れが続き、製鉄メーカーによっては店売り向け引き受け調整を実施。これらが厚板全体の需給タイト化につながり、市中在庫も品薄化が著しくなってきている。

 加えて東京製鉄が12月契約分で厚板の建値をトン2千円引き上げ、ベース=8万4千円とした。市中で一定の影響力を有することから、品薄傾向にある流通(店売り)マーケットにおいて今回の値上げを機に「客先に販価引き上げを打診するきっかけとなる」(首都圏の有力販売店)とか「帳破明けから唱え値を切り上げていきたい」(同)といった声もある。

 もともと母材市況の基調は上昇ムードだっただけに、それがより鮮明になるのは確実の情勢だ。ただ、この動きが切板価格にもすぐに反映されるかどうかは「微妙な情勢」との見方もある。

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