三振率上位占める阪神勢…中谷はじめ2割超え多数 三振率ランキング【セ編】

阪神・中谷将大(左)と陽川尚将【写真:荒川祐史】

本塁打王のソトやバレンティンは比較的三振率低め

 三振は、投手には最も安全なリザルトだが、打者にとっては「完敗」を意味する。しかし、思い切って振らなければ結果もついてこない、三振数は、打者にとって悩ましい数字ではある。

 今季、セ・リーグで最も三振しやすかったのはどの打者か? 200打席以上立った打者の三振率(三振数÷打席数)20傑。参考までに本塁打数、打率もつける。

 セ・リーグで200打席以上は62人、そのうちの20傑。

1バティスタ(広).268(302打席81三振25本塁打 打率.242)
2中谷将大(神).264(246打席65三振5本塁打 打率.230)
3陽岱鋼(巨).261(276打席72三振10本塁打 打率.245)
4陽川尚将(神).254(299打席76三振6本塁打 打率.252)
5神里和毅(De).249(273打席68三振5本塁打 打率.251)
6阿部慎之助(巨).247(223打席55三振11本塁打 打率.247)
7ナバーロ(神).24444(225打席55三振3本塁打 打率.276)
8福田永将(中).24435(487打席119三振13本塁打 打率.261)
9嶺井博希(De).2435(230打席56三振5本塁打 打率.177)
10安部友裕(広).238(252打席60三振4本塁打 打率.236)
11ロサリオ(神).235(302打席71三振8本塁打 打率.242)
12丸佳浩(広).230(566打席130三振39本塁打 打率.306)
13大城卓三(巨).228(202打席46三振4本塁打 打率.265)
14植田海(神).226(243打席55三振0本塁打 打率.192)
15鈴木誠也(広).223(520打席116三振30本塁打 打率.320)
16ソト(De).218(459打席100三振41本塁打 打率.310)
17倉本寿彦(De).217(235打席51三振1本塁打 打率.232)
18バレンティン(ヤ).201(602打席121三振38本塁打 打率.268)
19松井雅人(中).196(260打席51三振2本塁打 打率.229)
20岡本和真(巨).195(616打席120三振33本塁打 打率.309)

 広島のバティスタが1位。ドミニカ共和国のカープアカデミー出身で、育成から這い上がった強打者だ。バティスタには常に「長打」が期待されている。それだけに三振が増えるのはやむを得ない部分もある。

 2位は阪神中谷。昨年、阪神生え抜きの右打者として2006年の濱中治以来11年ぶりで20本塁打を記録したが、今季は本塁打が激減。三振率だけが.211(455打席96三振)から.264と急増した。焦りのようなものを感じる。

 阪神の打者は軒並み三振率が2割を超えている。結果を求めてバットを振り回していたと言えなくもない。

 セ・リーグの三振王は広島の丸。今季もMVP級の活躍だったが、その代償として130もの三振を記録した。ただ四球も130ちょうど。収支ゼロというところか。

 今季本塁打王のソトや、38本塁打のバレンティンは三振率が2割ちょっと。それほど多いわけではない。

王貞治氏は本塁打数より低い三振数記録した年が5回

 では、三振率の下位10傑も見ていこう。

53北條史也(神).120(266打席32三振1本塁打 打率.322)
54糸原健斗(神).115(637打席73三振1本塁打 打率.286)
55川端慎吾(ヤ).111(334打席37三振3本塁打 打率.259)
56ビシエド(中).105(582打席61三振26本塁打 打率.348)
57松山竜平(広).103(446打席46三振12本塁打 打率.302)
58亀澤恭平(中).102(206打席21三振0本塁打 打率.286)
59坂口智隆(ヤ).101(595打席60三振3本塁打 打率.317)
60中村悠平(ヤ).097(401打席39三振5本塁打 打率.211)
61青木宣親(ヤ).085(567打席48三振10本塁打 打率.327)
62宮崎敏郎(De).076(590打席45三振28本塁打 打率.318)

 つなぐ打者の名前が多いが、今季、セで最も三振しにくかった打者は昨年の首位打者で今季も3割をマークしたDeNA宮崎、その次がヤクルトの青木。いわゆるアベレージヒッターだ。今季の首位打者ビシエドも.105で下から7番目に。2015年の首位打者、ヤクルトの川端も8番目にいる。ミートが巧みなアベレージヒッターは、三振数が少なくなると言えるだろう。

 NPB史上最高の強打者、王貞治は若いころは「王、王、三振王」と揶揄されたように三振が多かったが、打撃の進歩とともに三振数が激減し、1972年には48本塁打43三振と三振数より本塁打数が上回る。王はこの年も含め、5回この記録をマーク。1977年には50本塁打37三振という空前の記録を作った。

 本塁打を打つためには三振も「必要経費」とされるが、打撃が向上すれば「三振せずに本塁打を打つ」境地に達する。丸にもその境地を目指してほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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