【三菱マテリアル、「EV材料開発・リサイクル推進部」発足】〈神田正明執行役員に聞く〉新製品・新事業を創出

グループ内で情報共有

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 三菱マテリアルは、自動車電動化に対応した新製品・新事業の創出を促進するため、4月1日付でコーポレート部門にEV材料開発・リサイクル推進部を新設した。神田正明執行役員(技術統括本部副本部長兼EV材料開発・リサイクル推進部長)にその狙いや背景を聞いた。(相楽 孝一)

――新設した組織の概要と狙いを。

 「当社は材料、リサイクルを含めさまざまな自動車関連事業を展開しているが、従来は各事業が独立して取り組んでいた。それを今後大きく伸びるEV(電気自動車を含む電動車両)という観点で全社横断的な活動を展開し、全体最適を図るのが狙いだ。また、現在扱っている製品だけでなく、これからEV向けでどういう製品が必要になるか、あるいはどういう機能が必要になるかをさまざまな視点で考え、それを開発していく旗振り役も担う。同様に、当社はさまざまな分野でリサイクル事業を展開しているが、EV関連のリサイクルビジネスの推進にも取り組む」

 「EV関連では炭素系新素材『グラフェン』の開発・製造企業との協業や、日本磁力選鉱と車載用リチウムイオン電池(LiB)からの金属リサイクル技術の共同開発などにも取り組み始めている。こうしたところの推進役でもある」

――EV市場の成長率についてどうみるか。

 「専門家などがさまざまな予測をしているが、非常に幅があるため、どこを取るのかが難しい。基本的にはそれらの中間値付近で考えているが、それでもかなり高い成長率で伸びるのは間違いない。一方、リサイクルについても事業として成立するような量の廃電池が市場に出てくるのはかなり先になると思うが、そこまでただ待っているわけにはいかない。技術的な部分は先行して確立し、どういうスキームでビジネスを立ち上げていくかを早い段階で準備しておきたい」

――LiBリサイクルの共同技術開発はどう進めているか。

 「基礎的なリサイクル技術はすでに持っているが、実際に廃電池を集め、最終製品にするまで一気通貫での実証を、研究所レベルからもう一段階前に進めて取り組もうというものだ。その中で商業規模のプラントにする際の課題抽出と、それに対する技術開発を進めていく。また、さまざまな種類があるLiBに対してどういう条件でリサイクルすべきか、あるいはそこから回収した金属を再び電池に戻した時の純度や製品スペックとの関わりなどの確認なども進める。最終的にはリーズナブルなコストで機能を発揮する製品をリサイクルできるという確証を得るのが目的だ」

――銅やアルミをはじめ多素材で多様なEV関連製品を取り扱い、また、資源から加工、リサイクルまで縦横で幅広い関連事業を有する。この強みをどう生かすか。

 「一つは情報を相互に共有すること。それによって営業もやりやすくなるし、顧客からのニーズもより広く集めることが可能になる。そこから新しい製品や技術の開発につなげていけるはずだ。当社は川上から川下まで事業展開をしており、動脈(素材製造)から静脈(リサイクル)まで手掛けている。その心臓部に当たるのが自動車会社になると思うが、その前後を上手く組み合わせること。あるいは材料では複合材料などは狙っていきたいところだ。EVとなれば軽量化や熱マネジメントが重要になるため、当社の扱う素材が生かせる分野がどんどん広がっていくと考える」

――4月に発足し、どういった取り組みが始まっているか。

 「グループ各社を含めた情報共有はだいぶ進んでいる。また、EV関連のシンポジウム・展示会に当社グループの製品をまとめて出展してPRするなどの企画も実行した。材料開発という面ではどういうものを開発すべきかなどを検討している。これはすぐにできるものではないので研究所や各カンパニーを含め多くの人の意見を集め、すり合わせをしながら提案していければ良いと考えている」

――欧州、中国といったEV市場のマーケティングについては。

 「中国には三菱綜合材料管理(上海)という会社があるので、そこを活用して進めている。欧州はまだ着手できていないが、これから必要になると考える」

――日系メーカーを対象に活動するのか。

 「まずは日系メーカーが中心になると思うが、それだけというわけにはいかないと考えている。安全性を重視する日本の自動車メーカーは機能的なスペックが高いため、対応できる企業も限られる。当社はそういうところをおさえたい。これは中国も含め世界的にそうした方向に進むと思うので対応できる体制を早期に構築したい」