巨人菅野を抑え1位に立ったのは… 投手の安定感を示すK/BBランキング【セ編】

阪神・桑原謙太朗【写真:荒川祐史】

奪三振を与四球で割るK/BBは投手の優秀さ、安定感を表す数値

 投手にとって奪三振は、振り逃げ以外では出塁を許す余地がない最も安全なリザルトだ。一方で与四球は、打者に一塁を与えてしまう最も残念なリザルトだ。良い投手とは奪三振が多く、与四球が少ないと言えるだろう。

 奪三振数を与四球で割るK/BBは、投手の優秀さ、安定感を表す数値としてMLBでは非常に重視されている。今季セ・リーグで50イニング以上投げた投手62人のK/BBランキングを見てみよう。

セ・リーグ K/BB 上位10傑

1桑原謙太朗(神) 5.42(65奪三振12与四球57回)
2菅野智之(巨) 5.41(200奪三振37与四球202回)
3秋山拓巳(神) 4.94(89奪三振18与四球105回)
4パットン(De) 4.19(67奪三振16与四球56回)
5石山泰稚(ヤ) 4.13(62奪三振15与四球73回2/3)
6小川泰弘(ヤ) 3.92(94奪三振24与四球108回)
7大瀬良大地(広) 3.88(159奪三振41与四球182回)
8岩貞祐太(神) 3.81(122奪三振32与四球132回)
9東克樹(De) 3.69(155奪三振42与四球154回)
10山崎康晃(De) 3.50(63奪三振18与四球56回1/3)

 K/BBが5を超えれば優秀とされる。トップは、阪神のセットアッパー・桑原。桑原は速球のように見えて打者の手元で小さく変化する「真っスラ」が武器だが、同時に四球をほとんど出さないことで、安定感のある投球をしている。

 2位には巨人の絶対的なエース、菅野。202回を投げてこの数値は凄い。打者には付け入るスキがなかったはずだ。ヤクルト・石山は2016年までK/BBは2前後だったが、昨年からこれが急上昇し、セットアッパー、クローザーとして活躍するようになった。

阪神・藤浪の課題は明確、広島アドゥワは特殊なケース

K/BB下位5人も見ておこう

58藤浪晋太郎(神) 1.49(70奪三振47与四球71回)
59藤嶋健人(中) 1.48(40奪三振27与四球71回1/3)
60京山将弥(De) 1.27(42奪三振33与四球59回)
61小野泰己(神) 1.19(96奪三振81与四球126回1/3)
62アドゥワ誠(広) 0.83(30奪三振36与四球67回1/3)

 今季も不振に終わった阪神・藤浪の課題ははっきりしている。制球力だ。K/BBの数値が改善されない限り、復活はないだろう。最下位の広島、アドゥワの場合は、かなり特殊だ。この投手の決め球は2シーム。打ちごろに見えて、微妙に動く球にバットの芯を外されて凡打の山を築く。奪三振が少ないことは問題ない。制球力も良くないが、打たせて取るスタイルが確立しているので、K/BBが低くても通用するのだ。

 NPBで1500イニング以上投げた投手のK/BB5傑

1上原浩治 6.64 1400奪三振 211与四球
2土橋正幸 4.61 1562奪三振 339与四球
3杉浦忠 4.29 1756奪三振 409与四球
4稲尾和久 3.58 2574奪三振 719与四球
5村山実 3.55 2271奪三振 639与四球

 巨人の上原が歴代で1位に。今季は34回2/3しか投げていないが、24奪三振10与四球のK/BB4.80と優秀だった。K/BBは、投手の実力を測る一つの指標だ。この数値が大きく動いた投手は、投球スタイルに何らかの変化があったと考えるべきだ。来季も注目していきたい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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