惨状に思いはせる ブラジルと韓国の医師 被爆体験を聴講 恵の丘ホーム

 被爆医療の研修で長崎市を訪れた韓国とブラジルの医師ら10人が30日、長崎市三ツ山町の恵の丘長崎原爆ホームで、入所者の被爆体験を聞いた。
 体験を話したのは、山崎千鶴代さん(77)。山崎さんは4歳の時、爆心地から4キロ離れた三ツ山町で被爆。より爆心地に近い坂本町の長崎医科大付属病院(現長崎大学病院)で勤務していた両親と幼い妹の3人を亡くした。祖母と一緒に3人を捜しに行ったが、見つからなかったという。山崎さんは「原爆の後は、親戚らに育てられた。自分のような経験はしてほしくない」と訴えた。
 ブラジルの外科医、ヤナギダ・エディソン・タケヒコさん(53)は「突然家族を亡くし、苦労しているのは本当に悲しい。研修で学んだことをブラジルに持ち帰りたい」と話した。
 研修は在外被爆者支援事業の一環で、県や同市、長崎大などでつくる「長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(NASHIM)」などが毎年度実施。今回は韓国の医師ら計8人が30日まで、ブラジルの医師2人が来月13日まで、同大などで被爆者医療に関する知識を学んだり、実相に触れたりする。

被爆者の山崎さん(左)の被爆体験を聞く韓国とブラジルの医師ら=長崎市、恵の丘長崎原爆ホーム

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