「女性議員が増えることで、本当に、暮らしやまちは良くなるのか?」(上田令子東京都議会議員へのインタビュー・聞き手:池田麻里)

2018年5月に成立した「候補者男女均等法」では、女性候補の割合を50%にするよう政党に努力義務を求めている。女性議員の増加は、政治や社会にどんな変化をもたらすのだろうか。

今回は、通称お姐。上田令子東京都議会議員です。江戸川区議会議員を経て、現在2期目。2016年小池百合子都知事誕生の立役者でありながら、のちに都民ファーストの会を離党。現在は地域政党「自由を守る会」の代表。舌鋒鋭く、税金の無駄遣いを許さない徹底調査と追及を続けている。

今回お話を伺った東京都議会議員の上田令子さん

地元も政策も無い「女性」が売りの議員はいずれ落ちる

「女性」ってことだけが売りの議員じゃダメだ、ってことですが、どういう主旨ですか?

私が政治に関心を持ったのも、保育園の待機児童問題だったのですが、当時は今よりももっと深刻で。でも、最近はそれがトレンドになってきて、言うだけの女性議員がいます。しかも、財源の裏付けが無いままに言う。

もうひとつは、私も働いているときにマタニティハラスメントを受けて、労働組合に相談したのだけれども、かえって話が上司に筒抜けになったりして全く頼りにならない。労働組合はホワイトカラーのおじさんたちの居心地のいい場所になってしまっている上、イデオロギーの場になっている。そういう左派系、団体を背景にして、オスプレイガーとかケンポウキュウジョウガーとか言っているだけなのは単に女性であるってだけ。
地域や暮らしに寄り添ってないと思うんです。

-確かに、保守系の女性候補って、地域での経験がしっかりあって人としての資質が磨かれている方が多いかも。

公明党所属の方もそうですね。支援者の厳しい目にさらされていますから。保守系の女性都議って数は少ないですよね。自民党は、改選前はふたり、今もひとりしかいませんけど、地盤がガチガチに決まったとこで地域に密着して活動されていますよね。共産党だって、考え方は私と違うけど、しっかり地域を回っている。
ぽこっと落下傘で来て、若かったり、可愛かったりして、理解してもいないイデオロギーを振りかざして口だけパクパクさせているのは、言うだけ番長!
突っ込んだ会話をすると途端にわかります。
今も、史上最年少当選!とか、子供たちのためにぃ~!!な人もいますけど、今や、「女」も「ママ」も「ワーキングマザー」も当たり前。その上で、あなたは何をするんですか?っていうフェーズに入ってきていると思います

女性候補者の当選率はまだ高いですが、当選後の活動次第で。

そうです。当選後に何にもやってないと、2期目の選挙が厳しい。年も取っているし、もっと若くて可愛い候補者も出てくる。
自由を守る会の議員にはいつまでも「ママ」っていうことだけじゃなく、オールラウンドの政策を持ってフィールドワークを持った地域活動をしましょうといつも言っています。ママって属性じゃないですか。必要なのは属性プラスアルファ
人として、議員として、職人、プロフェッショナルになれるかどうか。プロフェッショナルになっちゃえば、年を取って、おばさん、おじさんになっても当選し続けることができる。世田谷区議会の行革110番おおばさんや、千代田区議会の小枝さん、松戸市議会の山中さんなど尊敬しています。地域のために走り回って、信頼を得ていますからね。

-私もアメリカの地方議会を視察して、弁護士とか民間企業出身で立法機能が強いなと感じましたが。

そうですね。医者とか退職後という方もいらっしゃる。一方で、ハイレベル過ぎるというか、普通の人が入り込む余地がなくなっちゃうとも感じていて、そこは日本の方が広くチャンスが確保されていて良いかなと。
ハイスペックなだけじゃダメなのよ。東大出ても、知事を褒めることしかしないんじゃ。

-後でお聞きしますが、結果的にすごく厳しい状況になった2016年の都議会議員選挙で勝ち抜いたのも、上田さんの日頃の活動の成果ですから。

児童相談所の移管については区議会議員時代から取組んできましたし、行財政改革は主要政策。不必要なコミュニティセンターを作ることもストップさせましたし、個人資産がありながら土地を生産緑地に指定させて、全く手入れもしない土地が放置されてきた件では、毎年、草ボーボーの写真を撮りに行って、それを見せながら都の主税局に指摘して、きちんと課税をさせました。
この件では、区役所の職員は当該区民にいつも恫喝されていたので、都税事務所で門前払いされていたのには溜飲が下がったみたいですね。
確かに、強く主張したり、マスコミも利用するけど、私の場合、何のためにそれをやるのかが明確な訳ですよ。今回の件は都税収入の確保とかね。
ぜひ、女性議員にはこうした活動をして欲しいですよね。

-同感です。
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