WTCR:KCMGが2019年のフル参戦表明。モンテイロをエースにホンダ・シビックの2台体制

 2019年シーズンのWTCR世界ツーリングカー・カップでホンダの2番目のカスタマーチームとしてKCMGが名乗りを上げ、2台のホンダ・シビック・タイプR TCRを走らせることを発表した。ドライバーには、すでにフル参戦をアナウンスしていたティアゴ・モンテイロをエースに、そのチームメイトには19歳のアッティラ・タッシを起用する。

 香港に拠点を置くKCMGは、2018年のTCRヨーロッパ・シリーズでFK8型のシビック・タイプR TCRを2台走らせ、ハンガリー人のタッシとTCRドイツ3連覇の実績を持つジョシュ・ファイルズとともにシリーズを戦い、チームタイトルを獲得している。

 そのTCRヨーロッパでは最後までタイトル争いに絡み、2018年のWTCRハンガリー・ラウンドにもワイルドカード参戦を果たしているタッシは、2019年に念願のWTCR昇格を果たし、モンテイロのチームメイトとしてフル参戦が決定。チームは、タッシの長年のパートナーであるハンガリーのエナジードリンク企業“Hell Energy”と、モンテイロをサポートしてきたドイツの技術企業“Brose”のスポンサードを受けることになる。

「KCMGと一緒にWTCRにステップアップし、ホンダ・レーシングのドライバーとしてその一員になれたことを本当に誇りに思うよ」と、WTCR前身のTCRインターナショナルでも優勝経験を持つタッシ。

「本当に夢が叶ったことがうれしいし、19歳でこのチャンスを得られたことも光栄だ。ここまでのキャリアではつねに優勝や表彰台を争ってこれたけど、去年のハンガリー戦での経験からこの選手権はこれまでで最高レベルの厳しさになることもよくわかっている」

「一度も訪れたことのないサーキットがたくさんあるし、新たに学ぶ必要があることも増えるから、今季は学習の1年にしなくてはならない。それでもチーム内は僕のようなルーキーには最適の環境で、シーズンを通じて確実にステップップして、いくつかの強力な結果が得られると感じているよ」

2018年のハンガリー戦にワールドカード参戦を果たしたアッティラ・タッシがKCMGとともに昇格を果たす
ノルベルト・ミケリスに見出され、M1RAでTCRインターなどに参戦してきた19歳のアッティラ・タッシ
2018年のTCRヨーロッパではジョシュ・ファイルズとともにチームタイトルを勝ち獲った

 一方、2017年シーズン半ばに起きたクラッシュの影響で長期の戦線離脱を余儀なくされ、2018年のWTCR日本ラウンドで415日ぶりに実戦復帰を果たしたモンテイロも、KCMGからの参戦が決定。18号車シビック・タイプR TCRをドライブして、シリーズ全戦に参戦する。

「KCMGやホンダとともに、こうしてフルタイムのレギュラードライバーとして復帰できることにとても興奮している。そして若く決断力のある速いチームメイトを迎えられたこともうれしい。彼がここまで素晴らしい実績を残してきたのを知っているからね」と、新体制に向けた意気込みと復帰参戦の喜びを語ったモンテイロ。

「KCMGはWTCR初参戦になるけれど、彼らが世界中のモータースポーツカテゴリーで築いてきた記録や、各国の耐久選手権やフォーミュラでみせた活躍を考えれば心配はいらないことがわかるだろう。それにツーリングカーでは圧倒的な経験を持っているし、チームは最初のイベントからコンペティティブだと思っているよ」

「改めて、去年の日本ラウンドでの復帰は本当に感動的な瞬間だった。怪我の療養期間中も、ホンダを始めWTCRやすべての関係者のサポートはとても素晴らしいものだった。大変な道のりだったけど、今はこれまで以上に強いモチベーションに満ちているし、怪我で奪われた2017年のタイトルを取り戻すべく、全力を尽くすつもりだ」

 これで再編されたホンダ系チームの陣容が確定し、ベルギーのブーツェン・ジニヨン・レーシングは初年度限りでWTCRから撤退。ミュニッヒ・モータースポーツはすでにアナウンスを済ませたとおり、エステバン・グエリエリ、ネストール・ジロラミのアルゼンチン・ペアでシリーズを戦うことになった。

2017年WTCC最終年のテスト時に大クラッシュを喫し、怪我の療養を続けてきたティアゴ・モンテイロ
そのモンテイロが復帰初戦に選んだのが、昨季のWTCR日本ラウンドだった
これで2019年WTCRにも4台のFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRが参戦することになる

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