激戦区を歩く 2019 県議選(1) 長崎市区(定数一四-17人)

支持者を前にマイクを握る候補者=長崎市内

 平成最後、そして夏の参院選の前哨戦でもある県議選は、無投票を除く9選挙区で激しいつばぜり合いが展開されている。いずれも各党の勢力争い、新人の参戦などで混戦模様だ。激戦の様子をリポートする。

 告示から最初の週末を迎えた30日、過熱する舌戦を尻目に、無投票当選した7選挙区の9人が自民県連で鳩首(きゅうしゅ)協議していた。

 議題は、選挙戦に突入した9選挙区の情勢分析と応援態勢。夏の参院選に向け、勢力伸長を図る自民は県都の長崎市区で現有5議席を上回る7人を擁立した。無党派層が多い同市区は自民にとって計算しづらく、弱点に挙げられる。それが“安倍1強”状態を背景に、攻めに出た。平成だけ見ても、同市区で自民が定数の半分も擁立したのは初めてだ。だが-。

 「無謀」「自民同士の票の奪い合い」-。候補者らからは共倒れの懸念が噴出する。分裂している県議会自民会派の勢力争いも絡み、“仁義なき戦い”の様相だ。地盤らしい地盤とする現職が不在の東長崎地区は草刈り場と化し、「回ろうとしても(別の自民会派の関係者から)横やりを入れられている」。複数の候補はこう漏らす。限られたパイの争奪戦に「全員の当選は厳しい」。関係者は口を真一文字に結んだ。
 「集まりが物足りない」。告示日にあった国民民主候補の個人演説会。空席が目立つ会場で、後継候補を支えるベテラン県議がぼやいた。

 野党分裂を経て迎える初めての統一地方選。参院選に向けて地方の足場を固めたいのは自民と同じだが、政党支持率は伸び悩み、野党第2党としての求心力は低迷している。攻めの自民とは対照的に、同市区での候補者擁立は現有3議席を割り込み、「2議席死守は至上命令」(県連幹部)だ。

 ただ、長年国会議員を輩出した三菱重工グループ労連長崎地区本部は4年前から千人余り組合員が目減り。新人候補の後援会員数は引退でバトンを渡す現職の7割にとどまっている。もう1人の候補も「前回選挙では1期目から2600票減らした」。党として、正念場の戦いに挑む。

 一方、初の議席獲得を目指す立憲民主も県連発足から半年で、「金も人もない」(関係者)状況だ。前回は別候補を支えた県職連合労組が今回、立民新人を支援するものの、「組織外候補で動きが鈍い」(同)。自らの動画を会員制交流サイト(SNS)で発信するなど無党派層への浸透に躍起だ。

 同市区での国民、立民の擁立数は計3人で前回の旧民主5人から減った。労組関係者は「不出馬2人の票を、それぞれがどこまで取り込めるかが焦点」と見る。

 公明、共産、社民、無所属の候補も懸命。当落線上に4、5人がひしめき合っているとみられ、県都の議席を巡り熱い火花が散る。

 ■立候補者 
(届け出順)
浅田眞澄美 52 自現 (3)
前田 哲也 55 自現 (2)
浦川 基継 46 自新 
坂本  浩 60 社現 (1)
原  拓也 50 無新 
中村 泰輔 38 国新 
下条 博文 43 自新 
麻生  隆 64 公現 (1)
深堀  浩 53 国現 (2)
堀江ひとみ 60 共現 (3)
中山  功 70 無現 (5)
赤木 幸仁 34 立新 
江 真奈美 52 自現 (2)
川崎 祥司 56 公現 (2)
久保田将誠 47 自新 
野本 三雄 81 自現 (6)
有川 好彦 56 無新 

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