14日告示 3市議選直前情勢 統一地方選第2ラウンド

 統一地方選第2ラウンドとなる長崎、佐世保、大村の3市議選(14日告示、21日投開票)が迫った。人口減少や大型事業計画などを争点に各地で激戦が展開される見込み。投票率が低迷した県議選(7日投開票)の影響などを見極めながら、各陣営が戦いに向けて最終調整に入っている。

◎長崎市 少数激戦 投票率を懸念
 定数40に対し現職32、元職1、新人12の計45人が出馬を予定している。少数激戦だが、前回より候補者が9人少なく競争倍率は下がりそうだ。統一地方選の第1ラウンド、県議選長崎市区の結果から投票率低迷を懸念する声もある。
 現時点での競争倍率は1.125倍。2011年は1.3倍、15年は1.35倍と、同じ定数40の市議選と比べても低い。前々回と前回はともに現職の8割以上が当選したが、市議としての知名度や倍率から「今回は限りなく10割に近づく」とみる向きは少なくない。これまで2回の市議選は新人が当選者全体の25%を占めただけに、何人が食い込めるかが注目される。
 前回の投票率は市長選が無投票だったことも影響して戦後最低の45.77%。今回は市長選の混戦に伴い50%を超えると想定していた陣営も多かったが、県議選長崎市区で44%台だったことを受け、5割を下回るとの声も増えてきた。ある新人は「浮動票に期待している部分もあるので、市長選が盛り上がって投票率を引き上げてほしい」と語る。
 当落ラインは3千票前後との見方が強い。一方、あるベテラン現職は「上位35人ほどが3千票以上で『だんご状態』になる」と予想し、他の候補者も得票の「二極化」を見据えて「2千票台でも下位で滑り込む人が出るのでは」と語る。
 市で深刻化する人口減少を念頭にした地域活性化を訴える候補者が多そう。市中心部のほか浦上、西浦上地区で候補者が集中している。
 自民7、立憲民主1、国民民主5、公明6、共産3、社民2、幸福実現1、無所属20の見通し。

◎佐世保市 “新陳代謝”進むか焦点
 33の定数に対し前回より4人多い44人が立候補の意向を示している。存在感を示してきた重鎮が高齢などの理由で出馬を見送る。現職は前回と比べ5人少ない24人で、新人は7人多い17人が名乗りを上げる予定。元職は3人。“新陳代謝”が進むかが焦点となる。
 保守系3会派のうち、市政クラブは、ベテラン3人が後進に譲る。自民市民会議は、議長経験がある現職が体調の問題で出馬を急きょ断念。緑政クラブは現職全員が再選を狙う。
 公明は党の定年制度で2人が交代し、現有4議席の確保が目標。社民は女性現職が5期目に挑戦せず、党公認の新人にバトンを託す。共産は昨年秋に8期目だった現職が病気治療のため辞任したため、若手の新人を擁立する。
 引退するベテランは人口が多い大野や相浦地区などに浸透しており、新旧が入り乱れた票の奪い合いになりそう。前回まで地元候補者が上位当選していた宇久地区からは、今のところ立候補の表明がなく、票の行方が注目される。
 前回の当選ラインは2147票。今回はベテランの引退と立候補者の増加で票が分散し、ボーダーが下がる可能性がある。
 自民7、立憲民主1、国民民主4、公明4、共産1、社民3、幸福実現1、無所属23の見通し。

◎大村市 争点は新庁舎建設など
 定数25に現職20、元職1、新人10の計31人が立候補を予定。10月に市長選を控える中、新市庁舎建設問題や新図書館(ミライon図書館)、新幹線を生かしたまちづくりなどが争点になりそうだ。
 新市庁舎建設を巡っては、昨年8月の市議会臨時会で関連予算が可決されたものの、12対10と賛否は拮抗(きっこう)。改選後の会派構成が、今後の市政運営に大きな影響を与える可能性もある。
 立候補予定者の内訳を地区別にみると、大村地区と竹松地区は計20人と激戦必至。大票田の西大村地区が4人にとどまっていることから、各陣営による新旧入り乱れた票の奪い合いが過熱しそう。有権者数は前回より4千人ほど増えたが、県議選で投票率が微減したこともあり、「当選ラインは千票前後になる」との見方が多い。
 自民5、立憲民主1、公明2、共産1、幸福実現1、無所属21の見通し。

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