西陵 9年ぶりの頂点 剣道男子団体 攻め貫き強豪連破

【剣道男子団体決勝、西陵―島原】主将として9年ぶりの優勝に貢献した西陵の大将橋本=長崎県平戸市、平戸文化センター

 剣道男子団体決勝の大将戦。もし敗れても、2本取られなければ本数差で勝ちとなる。「普通なら守らないといけない。でも、最後に弱気は嫌だった」。西陵の主将、橋本は攻めた。1日の個人決勝で開始10秒ほどで敗れていた王者から殊勲の面を奪った。板村監督は「全幅の信頼を寄せていた」という教え子の姿を見て男泣きに泣いた。

 昨季からレギュラーだった3年生は橋本1人。今季も県内主要大会の最高成績は4強で、4月の県高校選手権は準々決勝で敗れた。くすぶる思い。出場5人中、3年生が初めて4人起用された今大会、それをぶつけた。

 長崎南山との準決勝、8連覇中の島原との決勝で先手を取ったのは、春は控えだった次鋒野口。「いつも自分が足を引っ張ってきた。だから最後は」と立て続けに1本勝ちしてチームを乗せた。

 決勝で野口に続いたのは、今大会の会場となった平戸市出身の中堅大森。「小中学生からやってきた場所。地元のパワーを感じた」。相手が引き技を打って構え直したところで鮮やかな面。残り約15秒で再び面を決め、主導権をぐっと引き寄せた。続く副将戦は落としたが、最後は頼れるエースで勝負あり。混戦を抜け出したわずかな差は、間違いなく最上級生の意地だった。

 次は9年ぶりの夏の大舞台に挑む。橋本は「先輩たちの借りも返せた。この流れに乗って西陵の真っすぐな剣道を貫く。長崎代表として一丸となって上位を狙う」と全員の思いを代弁した。

© 株式会社長崎新聞社