講話や演劇で記憶継承 諫早大水害 忘れない 

諫早大水害を題材にした演劇「ランドセル」=諫早市民センター

 「第11回諫早大水害の記憶を語り継ぐ~7月25日を忘れない~」と銘打った催しが20日、長崎県諫早市東小路町の市民センターであった。体験者の講話や演劇などを通して、来場した約200人が水害の恐ろしさを学び、命の尊さを考えた。
 市民に防災意識を高めてもらおうと地元住民約10人でつくる「本明川を語る会」(中野勝利会長)が主催。同市真崎町の木本和義さん(84)は、最も死者が多かった同市天満町に当時勤めていた会社があり、縄などを用いて救助した状況などを息子と一緒に絵にした。スライドで映しながら「何軒も流される家屋の屋根上で助けを求める人たちが、稲光ではっきり見えた」。「若いお母さんが、乳飲み子をしっかり抱いたまま亡くなった姿が忘れられない」と体験談を語った。
 子ども劇団「ホーリーゴースト」は、諫早市出身の漫画家・山本おさむさんが同水害を題材にした漫画「ランドセル」の演劇を披露。県立諫早東高放送部は体験者の手記を朗読した。3年の亀井一菜さん(17)は「ネットなどには載ってない、生の情報に触れられて良かった」、2年の笹原彩音さん(16)は「地元で起こった水害を深く知る良い機会になった」と話した。

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