コドモドラゴン、マイナビBLITZ赤坂をSold Out!「僕らの居場所はここにある」

アルバム『テグラマグラ』を手に3月よりスタートした通算2回目となるコドモドラゴン47都道府県 Oneman Tour「ヘッドバンギング」。同ツアーのファイナル公演を、7月27日(土)にマイナビBLITZ赤坂で行った。赤坂BLITZは、コドモドラゴンにとって縁(因縁?)の深い場所。2014年11月に初めてワンマン公演で立ったときは、会場の規模にバンドの器が追いつかず悔しい思いも。そのリベンジ公演として、翌2015年9月に行い、Sold Outには至らなかったとはいえ1000人に手が届きそうな動員を上げ、前回の雪辱を果たすことが出来た。その後、コドモドラゴンは大きく飛躍。Zepp Tokyoや豊洲PIT、中野サンプラザでもワンマン公演を行うバンドに成長した。コドモドラゴンは、今年の1月にもマイナビBLITZ赤坂でワンマン公演を行いチケット完売寸前の状況まで作りあげていたが、何故かこの会場に関しては、「完売」という言葉を聞くことはなかった。が、4度目の挑戦となる今回の公演では、2階席に立ち見客が出たように、まぎれもないSold Outを記録。舞台上でヴォーカルのハヤトが何度も「Sold Outだよ」という言葉を口にしていたように、よほど嬉しかったのだろう。でも、今のコドモドラゴンのライブを観れば、この会場へ大勢の人たちが足を運ぶのも納得だ。

この日の模様を記す前に、先に、ライブで発表になった新しい情報をお伝えしよう。コドモドラゴンは、10月30日(水)に通算16枚目となるシングル『アノニマス』を発売する。アノニマスと言えば、サイバー空間で活動するハッカー集団のことを思い浮かべる人たちが多いだろうか。アノニマスには「匿名」や「名前を否定」という意味もあるように、コドモドラゴンの場合は後者の意味を持って表現していそうだ。とても、興味深い楽曲が誕生した。

コドモドラゴンは、シングル『アノニマス』を手に11月より全16本に渡る全国ツアー「Hello,ANONYMOUS」をスタートさせる。ファイナル公演は、2020年1月5日にTSUTAYA O-EASTに決定。9年目のバンド生誕日に当たる11月16日には、名古屋RAD HALLを舞台に「9周年記念ライブ コドモの日-ジャージ限定-」も行われる。この日はメンバーもファンたちもジャージ姿ではしゃぐことがお馴染みとなっている。ツアーの前後にはインストアイベントも数多く行われる。メンバープロデュースやテーマを持ったイベントもいろいろ用意してあるように、日程をチェックのうえ、そこも楽しんでいただきたい。ここからは、当日のライブの模様をお届けしよう。

会場中に揺らめく無数のカラフルな光。ファンたちが手にしたリングライトの輝きがメンバーたちを迎え入れる。沸き立つ歓声。その声を異世界へ連れ出すように、ゆめのギターがアラビアンな音色を掻き鳴らした。ライブの冒頭を飾ったのは、最新アルバムの始まりを告げた『テグラマグラ』だ。魂を掻きむしるその音楽は、心の叫びを呼び起こす。葛藤する想いが、次第に荒々しさを増してゆく。その気持ちを思いきり揺さぶるように、コドモドラゴンは『棘』という強烈な刺激を突き刺した。頭を振り乱し暴れ狂う観客たち。その熱を煽るように叩きつけた『クロトアカ』では、ハヤトと一緒に大勢の観客たちが「腐乱腐乱」と歌いながら大きく腕を振りまわしていた。一度、感情の螺子が狂ったら、もう戻れない!!

「オイ!オイ!」と煽るベースのmeN-meNの声を受け、会場中の人たちも共に声を上げ騒いだ『WOLFMAN』。理性が壊れそうな想いを毒々しい演奏を通して突きつけた『シリアルキラー』や、ヒステリックでポップな『彼彼』、気持ちを掻きむしるように流れたスクラッチ音も印象深い『WYSIWIS』など、コドモドラゴンは噛みつくように牙を剥いた感情をぶつけながら、観客たちへ戦いを挑んでいた。本気で楽しみたいなら、お前らも本気の覚悟でぶつかってこいと言わんばかりの姿勢で、彼らは、この日のライブを構成していた。

中盤には、『嚥失』や『ネジレ』など、自分の存在理由を問いかけてゆくバラードを連投。ハヤトの歌声や演奏陣が、壊れそうな感情を、嘆く心の声を、瘡蓋を剥がすような痛みに変え、心に染み渡らせていった。

表情は、一変。轟音渦巻く音を叩きつけ、感情をバーストさせた『BONEHEAD』。「ほらまた元通りだよ」と、ハヤトと満員の観客たちが歌声を交わし、正気を狂気(狂喜)に変えた『不謹慎が笑う』。沸き立つ衝動のままに騒いだ『君と嘘と赤い部屋』や『サイレン』と、ライブはどんどん熱を重ねてゆく。

「最後の一秒まで燃え尽きようぜ」の言葉を示すように音をぶつけた『DIRTYxDIRTY』では、燃え盛る気持ちが沸き続けていた。フロアからトチ狂った叫びの上がった『学級崩壊』、meN-meNの煽りやドラムのチャムのブラストビートに触発され、舞台上へ熱した感情をぶつけた『hate』。本編最後を飾った『DOUBT』でも、メンバーと観客たちが本能の導くままにヘドバンし、騒ぎ狂っていた。でも、その風景こそが見たかった。誰もが余所行きのメイクを落とし、本当の自分になって声を荒らげ、ぶつかってゆく。そんなみんなの素顔を4人は引き出したくて、日本全国をまわり、ここ、マイナビBLITZ赤坂に戻ってきたのだろう。

アンコールでは、会場中の人たちがタオルや拳を振りまわし「平成マキシマムピーポー」と、ハヤトと歌いあった『平成マキシマナンバー』。左右へ激しくモッシュし続けた『無脳bot』会場中の人たちが熱狂の祈りを捧げるように、客席に降り立ったハヤトへ向かってヘドバンを繰り返した『ゼロ・アイデンティティー』を披露。最後の最後に、コドモドラゴンは『HEMLOCK』を届けてくれた。ハヤトは「きっと運命と呼べるものなんて 誰も知らないこの世界で ずっと僕らは居場所を探してた」と歌いかけてきた。でも、今回の47都道府県ツアーのライブに一度でも参加した人ならわかっているはずだ。僕らの居場所は、ここ(コドモドラゴンのライブ会場)にあるんだということを。それを知っているからこそ、たくさんの人たちが笑顔で共に歌っていた。この日のMCで、ハヤトも何度も口にしていた、「みんなと一緒にいると幸せだと感じれるんだよ」「こんなに仲間がいることが嬉しい」と。そして、「俺らとお前たちで一つになろうぜ」と。

僕らは知っている、「自分らしく居ていい場所」を。「自分も輝ける場所」を。それに気づいた人たちが、こうやってコドモドラゴンのライブに嬉しそうに足を運んでくる。まだ終わらせやしない、きっと彼らはもっともっといろんな人たちの胸に教えに行く、この居場所があることを。

PHOTO: 上溝恭香(TAMARUYA) TEXT:長澤智典

―セットリスト―

『テグラマグラ』

『棘』

『クロトアカ』

『WOLFMAN』

『シリアルキラー』

『彼彼』

『WYSIWIS』

『嚥失』

『ネジレ』

『BONEHEAD』

『不謹慎が笑う』

『君と嘘と赤い部屋』

『サイレン』

『DIRTYxDIRTY』

『学級崩壊』

『hate』

『DOUBT』

-ENCORE-

『平成マキシマナンバー』

『無脳bot』

『ゼロ・アイデンティティー』

『HEMLOCK』

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