倒産件数が678件 3カ月ぶりに前年同月を下回る
2019年8月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が678件(前年同月比2.3%減)、負債総額は871億4,900万円(同28.1%減)だった。
倒産件数は5月(695件)以来、3カ月ぶりに前年同月を下回り、600件台となった。8月度では2年ぶりに前年同月を下回り、1990年以降の30年間では2017年(639件)に次いで、4番目の低水準。
負債総額は3カ月連続で前年同月を下回った。8月度で負債が1,000億円を下回ったのは、2017年(923億7,500万円)以来、2年ぶりで、この30年間では最少を記録した。これは負債100億円以上の大型倒産がなく(前年同月1件)、同10億円以上50億円未満14件(同17件)、同5億円以上10億円未満11件(同18件)と、負債の小口化が目立ったため。一方、同1億円未満は514件(構成比75.8%、前年同月510件)と前年同月を0.7%上回り、依然として小口倒産を中心に推移している。
- 「人手不足」関連倒産34件(前年同月45件)。このうち、「後継者難」が19件
- 形態別:破産が586件で、構成比は86.4%
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが17道府県、減少22都府県、同数8県
- 負債別:負債1億円未満の構成比が75.8%、100億円以上の大型倒産が3カ月連続で発生なし
- 従業員数別:5人未満の構成比が76.8%。10人未満の構成比は4カ月ぶりに前年同月を上回る
- 業種別:飲食料品小売業(25→33件)、飲食料品卸売業(19→21件)、道路貨物運送業(12→18件)、印刷・同関連事業(7→14件)、広告関連業(6→13件)などで増加
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、6カ月連続で構成比100.0%
産業別 最多はサービス業他、10産業のうち、4産業で前年同月を上回る
2019年8月の産業別倒産件数は、10産業のうち、4産業で前年同月を上回った。
燃料費の高止まりや、人手不足が懸念される運輸業は25件(前年同月比31.5%増)で、6カ月連続で増加。2019年10月の消費増税を前にして、小売業が127件(同38.0%増)、卸売業が98件(同3.1%増)と、3カ月連続で前年同月を上回った。卸売業では飲食料品卸売業(19→21件)、小売業では飲食料品小売業(25→33件)と、飲食料品関連での増加が目立った。また、情報通信業30件(同7.1%増)も3カ月連続で増加した。
一方、製造業は76件(同18.2%減)で2カ月連続、建設業113件(同10.3%減)は3カ月ぶり、不動産業20件(同35.4%減)は2カ月ぶりに前年同月を下回った。
件数が最多のサービス業他は182件(同10.3%減)で、2カ月ぶりに減少し、今年最少となった。飲食業(68→61件)や生活関連サービス業,娯楽業(35→27件)、医療,福祉事業(25→18件)、教育,学習支援業(8→2件)などで減少した。
地区別 9地区のうち、5地区で前年同月を下回る
2019年8月の地区別件数は、9地区のうち、5地区で前年同月を下回った。
そうしたなか、関東は259件(前年同月比0.3%増)で、3カ月連続で増加。近畿190件(同8.5%増)は2カ月連続、北海道21件(同16.6%増)は2カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、四国9件(同10.0%減)は6カ月ぶり、東北35件(同12.5%減)、中国23件(同14.8%減)、九州49件(同10.9%減)は4カ月ぶり、中部73件(同20.6%減)は2カ月ぶりに前年同月を下回った。北陸(19件)は前年同月と同数だった。
減少率が最も大きかった中部は、製造業(22→12件)や卸売業(15→7件)が減少。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
(株)ひびき/埼玉県/焼き鳥店ほか経営/77億900万円/民事再生法 (株)ISO/岐阜県/ 婦人服卸/45億円/特別清算 (株)タケヤ/東京都/ 靴小売/36億9,100万円/民事再生法 (医)社団冠心会/東京都/病院経営/34億6,200万円/民事再生法 (株)エステートジャパン/京都府/ 不動産売買・仲介/25億円/破産