WRC:王座争うトヨタのタナクにECUトラブル発生。「本当に申し訳なく思う」とマキネン代表

 9月14日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第11戦トルコの競技3日目。3台のトヨタ・ヤリスWRCで挑むTOYOTA GAZOO Racing WRTはヤリ-マティ・ラトバラが総合6番手、クリス・ミークが総合7番手につけた一方、オット・タナクはSS間のリエゾン(移動区間)でECUトラブルがありデイリタイアを余儀なくされた。

 2019年のラリー・トルコ、競技3日目はサービスパークが置かれるマルマリス西側のダッチャ半島周辺を舞台にSS8〜13までの6SSで争われた。

 この日最初のステージとなるSS8で、トヨタドライバー3名は全員ひとつずつ順位を上げる順調な走り出しをみせる。しかし、このSS8フィニッシュ地点から次のSS9へ向かう道中でタナクのマシンにECUトラブルが発生してしまう。

 タナクとコドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤは、チームと電話で連絡を取り合いながら道路脇で修復を試みたものの再走は叶わず。わずか1SSを走っただけでデイリタイアを余儀なくされることになった。

 その後、チームはサービスパークでECUを交換して問題を修復。競技最終日の15日(日)に行なわれる4SSには参加する。

2019年のラリー・トルコ競技3日目、総合7番手につけたクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)

 残る2台のうち、ラトバラはSS10でステージ4位タイムを刻むなど着実な走りで総合6番手のポジションを確保。ミークも荒れた路面と暑さで厳しいコンディションとなった競技3日目を確実に走りきり、ラトバラと15.1秒差の総合7番手につけた。

「今朝オットのクルマが止まってしまったのは、もちろん非常に残念だ。このようなことになってしまい、本当に申し訳なく思う」とチーム代表のトミ・マキネン。

「原因はECUのトラブルだったが、もちろんさらなる調査を行う。明日、彼はきっとパワーステージに全力で臨むと思うが、早い出走順であることを考えると簡単には行かないだろう」

「ヤリ-マティ(ラトバラ)とクリス(ミーク)は順位を上げることに苦労したが、それは早い出走順によりクリーンな路面を走れなかったためで、彼らにとっては不利な戦いだった」

「明日残されたステージの距離は短いが、少しでもポイントを獲得できるように、諦めずに戦い続ける」

■トラブルに襲われたタナク「もちろんフラストレーションが溜まる」

 デイリタイアを余儀なくされたタナクは「朝最初のステージを走り終えたあとのロードセクションで、突然エンジンがかからなくなってしまった。いろいろなことを試し原因を探したが、どうやらECUの内部に問題が起こったようで、我々には手の打ちようがなかった」と当時の状況を明かす。

「もちろんフラストレーションが溜まるし、特に初めてのタイトル獲得に向けて戦っているさなかだから、なおさらだよ」

ラリー・トルコ競技3日目にデイリタイアしたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

「かなり厳しい状況になってしまったのは確かだが、仕方がない」

荒れた路面を走るラリー・トルコはタイヤへの攻撃性も高い

 トヨタ陣営最上位の総合6番手につけるラトバラは「午後はロングステージでライバルにプレッシャーをかけようと攻めたが、タイヤの摩耗がかなり進んでいたため苦労した」とコメント。

 ミークは「明日(競技最終日)は完走しチームにマニュファクチャラーポイントをもたらすことだけを考えて走る」とコメントしている。

 競技最終日の15日はSS14〜17までの4SSで争われる。最終ステージのSS17は上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージに設定されている。全4SSの合計距離は38.62km、リエゾンを含めた1日の総走行距離は155.71kmだ。

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