キリシタン遺産の意義語る 長崎県と歴文博 登録1周年で講演会

講演する日高筑波大名誉教授=長崎歴史文化博物館

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録1周年を記念した講演会が23日、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館であり、専門家2人が遺産の意義や価値について語った。
 講演会は県と歴文博が主催。「長崎から世界へ 世界遺産を未来へどう伝えるか」がテーマで全3回を予定。初回は市民ら約100人が聴講した。
 講演で、筑波大名誉教授の日高健一郎氏(70)は「遺産を守るだけでなく、遺産から学んだものを長崎から世界に発信することが重要だ」と指摘。「登録に当たって蓄積された成果と人材を活用し、社会への影響も分析すべきだ」と提言した。
 北松小値賀町教委学芸員の平田賢明氏(39)は同町の構成資産、「野崎島の集落跡」の取り組みについて発表。「潜伏キリシタンの歴史が、現代の私たちの暮らしにどうつながっているのかを伝えることが重要」とし、「宗門改帳や御水帳(カトリックの古い洗礼台帳)などの記録資料はまさに生の声で、必要不可欠だ」と語った。
 2回目は10月14日、3回目は12月7日にいずれも長崎歴文博で開く。

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