VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーのトップチーム勢が続々と2020年体制を発表した。王者スコット・マクローリン擁するDJRチーム・ペンスキーは、長年にわたって耐久カップ登録で起用されたアレクサンダー・プレマに代わりティム・スレードが加入、同じくホールデンのトップチームであるエレバス・モータースポーツやマット・ストーン・レーシングも体制発表を行っている。
2019年シーズン最終戦終了直後に、ブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)からの離脱を表明したティム・スレードは、VASCでのレギュラーシートを失う形にはなるものの、2020年はマクローリンとのペアで“エンデューロ・カップ”ドライバーとしてDJRに加入。新たにフォード・マスタング・スーパーカーのステアリングを握ることとなった。
「2020年シーズンに向けて、この“シェルVパワー・レーシングチーム”に加入できたことがうれしくてたまらないよ。VASCで最高のチームであり、デビューイヤーを席巻したマスタングをドライブできるんだからね。それに、ロジャー・ペンスキーやディック・ジョンソンといったこのスポーツの“巨星”のもとで走れるのも心からの栄誉だ。チームと一緒に仕事ができる日が待ち遠しい」と、新加入の期待と喜びを述べたティム・スレード。
また、マクローリン、ファビアン・クルサードのレギュラードライバーに加え、クルサードの僚友には、引き続きトニー・ダルベルトが起用される。
「まず最初に、我々のチームで3年間も力を尽くしてくれたアレックス・プレマに感謝の意を表したい」と語った、チームマネージャーのライアン・ストーリー。
「我々のスポーツでは、時としてこうした難しい判断を迫られることがあるが、まさに今回がそのひとつだった。また新加入のティム(スレード)は、BJRでのフルタイムドライバーとしての実績を見れば、我々のマスタングで素晴らしい戦果を挙げてくれるはずだ」
一方、ペンライト・レーシングとしてシリーズに参戦し、2019年のエンデューロ戦では世界的ロックバンド『KISS』とのコラボレーションも話題となったエレバス・モータースポーツは、デビッド・レイノルズ、アントン・デ・パスカーレの両レギュラーに加え、ワイルドカード枠でバサースト1000に参戦したブロディ・コステッキの加入をアナウンスした。
コステッキ・ブラザーズの一員として、コステッキ・ブラザーズ・レーシングのエントリー名で下位クラスのSuper2を戦ってきたブロディは、2020年シーズンのトップクラス昇格を果たし、パスカーレの耐久カップ・コドライバーとして登録された。
「バリー(ライアン/エレバスCEO)から電話が掛かってきたときは心底驚いたし、本当に興奮した。チームに加入できて光栄だ」と、喜びを語ったブロディ。
「チーム全員に歓迎してもらい、2020年が本当に楽しみだ。19年はバサーストにワイルドカードで挑戦し、トップカテゴリーのレベルがどれほどかを体感することができた。大きな仕事だったけど楽しかったし、その過程で多くを学ぶこともできたんだ」
また2019年にパスカーレと組み、TCRオーストラリアでは初代チャンピオンにも輝いたウィル・ブラウンは、レイノルズとペアだったルーク・ヨールデンが引退を表明したことでそのままスライド。2020年はデビッド・レイノルズ/ウィル・ブラウン組として、エレバスのエースカーをドライブする。
そして2020年シーズンに向け2台体制に拡大するMSRマット・ストーン・レーシングには、ニッサン・アルティマをドライブしていたギャリー・ヤコブセンが移籍。ケリー・ニッサンがフォードへのスイッチに伴い4台から2台に縮小する余波を受けた27歳のヤコブセンだが、その参戦枠(RECレーシング・エンタイトルメント・コントラクト)を購入したMSRの枠をそのまま勝ち獲り、新たにホールデンのシートに座ることとなった。
「プログラムを拡大したMSRの最初のドライバーとして選ばれたことに興奮している。チームは2019年に(ホールデン・ワークスの)トリプルエイト・レースエンジニアリングの機材を使ってシーズンを戦った。そのワークス・スペック車両に乗るのが楽しみだし、さらにもう1台とデータをシェアできることもプラスに働くだろう」とヤコブセン。
MSRチームは2台目のドライバーも近日中にアナウンスするとしているが、こちらのシートには若手有望株の2名を起用し、シーズンを通してマシンをシェアする形での参戦を見込んでいる。