国交相と佐賀県知事が会談 協議の在り方を確認へ 新幹線長崎ルート

 九州新幹線長崎ルートで未着工区間の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備方針を巡り、赤羽一嘉国土交通相と山口祥義佐賀県知事は11日、国交省で会談した。山口知事が全線フル規格を前提とする協議に強く反発する中、赤羽国交相は「幅広い協議に応じてもらいたい」と呼び掛け、まずは事務レベルで前提となる協議の在り方や進め方の確認作業をすることで一致した。

 国交省は与党検討委の「フル規格が適当」との結論を「重く受け止める」(赤羽国交相)との立場を崩していないが、フル規格前提の協議が見込めない中で、佐賀県が協議入りしやすい環境を提示した形。整備方式の議論が動きだす可能性が出てきたが、山口知事は「前提として在り方などの確認が必要だ」と参加は明言しなかった。整備方針を巡る立ち位置の違いが解消されたわけではなく、確認作業の中身次第で、なお曲折が予想される。

 会談は非公開で、山口知事が終了後に会見。山口知事はこれまで、全線フルに固執せず、スーパー特急やフリーゲージトレイン(軌間可変電車)などを含めた五つの選択肢で時間をかけて議論するべきだと言及してきたが「(国交相の呼び掛けは)そういったことを受け止めた話だったと思う」と主張が一定受け入れられたとの認識を示した。その上で、全線フル前提の議論を拒否する考えをあらためて示し、佐賀県民や議会に十分な説明をするため確認作業は文書に残すことが必要とした。

 全線フルに向けた環境影響評価(アセスメント)費用の政府予算計上も「あり得ない」とあらためて批判。与党検討委が求める本県、JR九州を含めた4者による協議については、赤羽国交相に先立って会談した水嶋智国交省鉄道局長が「4者協議にはこだわらない」との意向を示したことを明らかにした。

 水嶋局長も記者団に対し「知事の懸念を解消するよう論点を再整理する必要がある。可及的速やかにやりたい」と話し、調整を急ぐ考えを示した。

 11日は与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の会合もあり、着実な整備に向けた国費の増額などを政府に求める決議案をおおむね了承。来週予定する次回会合で正式に決める予定。

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