長崎県高校演劇 九州、全国で存在感 刺激し合いレベルアップ

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県高校演劇をリードしてきた瓊浦高演劇部(同校提供)

 全国的に少子化などで高校演劇部の存続が危ぶまれる状況もある中、長崎県内の高校演劇部が九州や全国の舞台で存在感を増している。2018年に創成館高が九州代表として全国大会に出場。昨年は県立長崎北高が九州大会で最優秀賞を受賞し、今夏の全国高校総合文化祭(高知県)演劇部門大会に出場する。その他の高校も上位校の活躍に刺激を受けている。

 県高校演劇部は平成に入るまで、長崎、中、佐世保の3地区に連盟があり、それぞれで活動。1989年の県高校文化連盟設立を機に、3地区を県高文連演劇専門部として1本化し翌年、演劇発表会県大会が始まった。
 県高校演劇界をリードしてきたのは瓊浦高。九州大会17回、全国大会2回出場で県内トップの実績を残す。長年、同校演劇部の指導に当たっている顧問の岩永義宣教諭は「77年に初めて九州大会に出場したとき、長崎のレベルは低いと感じた。自校の質を高めるとともに、県全体のレベルを上げる必要があった」と振り返る。岩永教諭らは、プロの役者らを招いた県内演劇部の合同研修大会を実施。今も続けている。

■新しい風
 県高校演劇界では、しばらく「瓊浦1強」の時代が続いたが、15年ほど前から新しい風が吹き始めた。

3年連続で九州大会に出場している創成館高演劇部

 98年に鹿児島県の高校演劇部を日本一に導いた実績のある創成館高の塚原政司教諭(佐世保市鹿町町出身)が長崎県で指導を始めた。塚原教諭は、県立長崎南高、長崎日大高、精道三川台高、創成館高で演劇部を指導し、九州大会に計8回、全国大会には1回出場を果たした。2015年からは5回連続で九州大会に出場。塚原教諭は「演劇はお客さま第一主義。どうすればお客さまに楽しんで見てもらえるかを常に意識して芝居をするように生徒に伝えている。それが結果につながっている」と話す。

■はる芝居
 塚原教諭は岩永教諭と同様、県高校演劇の底上げのため、学校の枠を超えた交流を促進。他校の演劇部顧問らと協力し、もともと県央地区で実施していた生徒主体の演劇大会を、18年から「生徒創作演劇発表会県大会(はる芝居)」に拡大させた。この大会では、県内の高校が芝居を披露し合いながら、交流を図っている。
 自校の部活指導だけでなく県全体のレベルアップを目指す取り組みについて「他校のことも考えていたら自分の学校が追い越される可能性があるのではないか」との指摘もあるという。しかし塚原教諭は「県全体が盛り上がるのであればそれで良いと思う。互いが刺激し合いながらいい芝居をつくり、レベルを上げていくことが必要。今、本県はそれを実行できてきている」。

■部員不足
 演劇部や部員の減少は他の部活動と同様に課題だ。約30年前、県高文連演劇専門部には約50校が加盟していたが、現在は14校。多くは部員不足が原因だ。このうち、1994年に本県初の全国大会出場を果たした純心女子高演劇部は部員がゼロになり、昨年は活動を休止した。今春、顧問の教諭らは新入生らの勧誘を図り、「名門」復活を目指すという。他にも鎮西学院高や県立佐世保東翔高、県立大村高なども部員不足に悩まされているという。

「はる芝居」に初参加した聖和女子学院高演劇部

 一方、県高校演劇に新たに仲間入りする高校もある。これまで校内だけで活動してきた聖和女子学院高演劇部は部員数16人。2月にあった「はる芝居」に初めて参加し、特別賞を受賞した。新年度から同専門部に加盟する予定で、校外での演劇披露など活動を進めていく。同校演劇部の顧問、山田彩也香教諭は「校外でも上演したいと思っていたので、部員はとても楽しみにしている。他校からどんどん刺激をもらって良い芝居を披露したい」と意気込む。
 同校の他にも、長崎北高が本年度、県立西彼杵高が2017年度に加盟するなど新しい動きがある。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、現在は演劇の稽古もできない状況だが、同専門部の詫間智之委員長(瓊浦高教諭)は「生徒たちの安全がしっかり確保される社会状況になれば、部員のため、また多くの人に見てもらうためにも可能な限り公演の数を増やしたいと考えている。さらなる県高校演劇の盛り上げにつなげていきたい」と話す。