「緊迫感ない」店主複雑 長崎市中心部、普段の人出

緊急事態宣言が全国に拡大されてから初の週末。長崎市中心部は普段の人出だったが、マスク姿が目立った=同市浜町のアーケード

 緊急事態宣言の対象が全国に拡大されてから初の週末となった18日。長崎市中心部のアーケードなどでは普段の人通りが見られたが、駅や港などの周辺は旅行や帰省を控える動きで閑散とし、関係業者からは「休業も考えないと」と不安の声が聞かれた。

 長崎市中心部にある浜町のアーケードの昼下がり。普段のように買い物客らが行き交ったが、マスク姿が目立った。女性店主(66)は道行く人を眺めながら「緊急事態宣言前と人出は変わりない。人ごとというか、長崎はあまり緊迫感がないのでは」と複雑な表情。
 一方、新大工町商店街の青果店で食料品を買い求めていた市内の山本和子さん(72)は「感染が怖くてショッピングモールに行けない」と厳しい面持ち。極力外出を避けるため、必要な食料を1週間分購入し、なくなったらまた商店街へ来るつもりという。
 松山町の市営陸上競技場では、青空の下、ピクニックを楽しむ子ども連れやランニングする市民らの姿が見られた。ランニングウエアに身を包んだ男性会社員(49)は「ジムはどこも閉まっているので、身体を動かせる場所がここしかない」と、念入りに準備運動に取り組んだ。
 中村法道知事は17日の記者会見で、県境を越える不要不急の帰省や旅行を控えるよう求めた。JR長崎駅前は、併設の「アミュプラザ長崎」の休業もあり人通りはわずか。市内の20代女性会社員は「駅でここまで人が減っているのを見ると、緊急事態宣言の実感がわく」と驚きを隠さなかった。

 来島自粛が呼び掛けられた五島市の福江港も、行き交う人はまばら。ターミナル内で土産店を営む中村義隆さん(68)によると、来客数は新型コロナウイルス感染拡大前の1割程度に激減した。「あと1週間は様子を見て、あまりに客が少なければ休業も考えないと。それにしても在庫をどうするか…」。店頭に積み上げた銘菓を見詰め、ため息をついた。

島外からの客がめっきり減った福江港ターミナル。案内所には18日から、市内の休業施設を案内する紙が掲示された=五島市東浜町2丁目

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