【動画】西海・八人ケ岳 大村湾望む 伝承の山

八人ケ岳上空からの眺め。入り組んだ海岸線や多良山系など、大村湾を取り囲む地形を一望できる=西海市西彼町

 眼下に紺碧(こんぺき)の大村湾と新緑のリアス式海岸。遠くに目を移せば雄大な多良山系、雲仙岳も。元旦には初日の出を見に住民が集まる。
 西海市西彼町平山郷にある標高218メートルの八人ケ岳。「西彼町郷土誌」では、1185年の源平合戦の後、落ち武者を探す一行が、岩穴で雨宿りをしたところ、崩れて8人が亡くなった。その霊を山頂に祭った伝承が由来。山腹には古代末期から中世にかけ、西彼杵半島で生産された滑石(かっせき)製石鍋の工房跡とみられる岩場も点在する。
 山頂には金比羅神社があり、1993年に展望台などが整備された。今年は中止したが、4月10日に近い日曜日に開く春の大祭では市指定無形文化財「平山郷礎築(いしつき)音頭」を地元保存会が奉納、威勢のいい掛け声が響く。建物を建てる前の「地固め」を再現した郷土芸能で、キリスト教から仏教に改宗した大村藩主純信が、1624年に妙経寺(同町白崎郷)を創建した際に伝わったという。
 保存会会長の池谷洋海さん(70)によると、江戸時代、往還道が近くを通り「かご立て場」の地名も残る。「お殿様もこの景色を見て、一服したのでしょう」と話した。

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