トレード後にスターとなった8人の殿堂入り選手たち

レッドソックスからヤンキースへトレードされ、球界を代表するスーパースターとなったベーブ・ルースのように、移籍を経験している殿堂入り選手は少なくない。しかし、なかには「生え抜き」というイメージが強いにもかからわず、実は移籍を経験しているという選手も少なからず存在する。ここではサービスタイムが3年に達する前に移籍を経験し、殿堂入りプレーヤーへと成長を遂げた8人の選手をピックアップする。

史上初の通算600セーブを達成したトレバー・ホフマンは「パドレスの守護神」というイメージが強いが、プロ入りはレッズだった。1992年11月のエクスパンション・ドラフトでマーリンズに指名され、翌1993年にメジャーデビュー。しかし、同年6月にゲーリー・シェフィールドを中心としたトレードでパドレスへ放出された。その後、シェフィールドも素晴らしいキャリアを過ごしたが、ホフマンは球史に残る名クローザーへと成長。パドレスの選手として殿堂入りしたのはホフマンとトニー・グウィンの2人だけである。

ルースに続くレッドソックスの失敗と言われているのが、1990年8月末にベテラン救援右腕ラリー・アンダーセンとの交換でジェフ・バグウェルをアストロズへ放出したトレードだ。地元ボストンでメジャーリーガーになることを夢見ていたバグウェルだったが、のちにこのトレードを「人生で最悪の瞬間が人生で最高の瞬間となった」と振り返っている。レッドソックスでは出場機会に恵まれなかったバグウェルだが、翌1991年にメジャーデビューして新人王に輝き、その後は殿堂入りの強打者へと成長。一方のアンダーセンは地区優勝に貢献したものの、その年のオフにパドレスへ去っていった。

ブレーブスの強力投手陣の一角として活躍したジョン・スモルツもメジャーデビュー前にトレードを経験している。優勝争いを繰り広げていたタイガースはブレーブスの先発右腕ドイル・アレクサンダーを獲得するために、1987年8月にスモルツを放出。アレクサンダーは無傷の9連勝の大活躍で期待に応えたが、スモルツはブレーブスで過ごした20シーズンで210勝&154セーブを記録するなど、殿堂入りの名投手へと成長を遂げた。

このほか、名二塁手のライン・サンドバーグはメジャー1年目を終えたばかりの1982年1月にフィリーズからカブスへトレード。通算5714奪三振の名投手ノーラン・ライアンは1971年12月にメッツがエンゼルスからジム・フレゴシを獲得する際、交換要員の4人のうちの1人として放出された。

名二塁手ネリー・フォックスはコニー・マック監督からの評価が低く、1949年10月に控え捕手ジョー・ティプトンとのトレードでアスレチックスからホワイトソックスへ放出。名遊撃手ピー・ウィー・リースも1939年7月に35000ドル+後日指名選手2人との交換でレッドソックスからドジャースへ放出されているが、これは当時レッドソックスの選手兼任監督だったジョー・クローニンが自身の定位置を確保する狙いもあったと言われている。

また、名投手クリスティ・マシューソンは1900年にジャイアンツでメジャーデビューを果たしたあと、同年オフのルール5ドラフトでレッズへ移籍することになったが、ジャイアンツはエイモス・ルーシーとのトレードですぐさまマシューソンを取り戻している。この年、6試合に登板して0勝3敗に終わったマシューソンだが、翌1901年には20勝を挙げ、通算373勝をマークする名投手へと成長していくことになる。

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