「休業要請」対象外でも利用大幅減 ゴルフ場の現状

新緑の中、プレーを楽しむ利用客=喜々津CC

 広いコースでプレーを楽しむゴルフ場。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令された中でも、休業要請の対象とならなかった数少ないスポーツ施設だ。これまで、さまざまな対策を取りながら営業を続けてきたが、外出自粛の影響で利用客が昨年から半減するところもあるなど“向かい風”が吹く。長崎県内の現状を探った。

 大型連休中の2日、諫早市の喜々津CC。好天に恵まれ、愛好者がクラブを振っていた。仲間と2人で訪れた長崎市内の男性会社員(58)は「連休中はずっと家にいる。久しぶりに体を動かして気分転換できた」と笑みを浮かべた。コロナ感染の不安がないか尋ねると「従業員もマスクをしているし、安心かな」。
 県ゴルフ協会(山下新太郎会長)に加盟する22のゴルフ場は、新型コロナが全国的に広がった3月以降、利用客が軒並み減少している。社員にプレーを禁じる企業もあり「企業絡みの大人数のコンペは全滅」という支配人も。個人や少人数グループの利用が大半だ。
 ホテル併設型で、県外や海外からの滞在系顧客が多かったオーシャンパレスGC(長崎市)は、県外への移動自粛や入国制限などのあおりを受けて、利用客が3、4月とも昨年から5割以上落ち込んだ。全栽弼(ジョンジェピル)支配人(45)は「5月も厳しい。従業員を大事にし、今は耐えるしかない」と早期の収束を祈る。
 「3密」回避には各ゴルフ場とも知恵を絞る。全国にコースを持つ運営会社、アコーディア・ゴルフ系列の佐世保国際CC(佐世保市)、ハウステンボスCC、長崎パークCC(ともに西海市)の3ゴルフ場は、ハーフの休憩を挟まない「スループレー」を採用。クラブハウス滞在時間を短縮して、ロッカーや浴室、レストランの利用を中止している。他場もコンペルームの閉鎖やプレー前の検温など感染防止対策に懸命だ。

感染防止対策で検温する従業員(右)=喜々津CC

 長崎国際GC(諫早市)や長崎CC(長崎市)は緊急事態宣言が全国に拡大された4月16日以降、県外客の受け入れ中止をホームページなどで告知。長崎国際GCの原田信彦総支配人(72)は「対策を徹底し、自己防衛するしかない」と力を込める。
 一方、不要不急の外出自粛などが引き続き求められる中、周囲の目を気にする利用客も少なくない。実際、マスコミなどへ「やっていいのか」という苦情も寄せられている。ゴルフ場が競技会の成績を新聞などに提供する際、参加者から名前を載せないように求められることもあるという。積極的な営業活動もできない。
 ある中小規模のゴルフ場支配人は「苦しいのはどの業種も一緒だが、このままでは(経営は)危険水域」とした上で「(県全体で年間約3億円の)ゴルフ場利用税の減免措置などを講じてもらえれば」と訴える。
 県ゴルフ協会理事長兼事務局長で喜々津CCの山下哲也総支配人(73)は「安心安全を適切に確保し、お客さまに運動する機会を提供していく。コスト削減も図りながら、力を合わせて苦境を乗り切っていきたい」としている。


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