左腕に強い左打者 イチローは2004年に打率.404を記録

一般的に「左打者は左腕に不利」と言われ、左打者を抑えるワンポイントとして活躍した投手も少なくない。しかし、すべての左打者が左腕を苦手としていたわけではなく、左腕を相手に好成績を残した左打者も存在する。データサイト「Baseball-Reference」の「Split Finder」という機能を使用し、「左腕に強い左打者」を調べてみた。

同サイトのデータは、1973年以降は「完成」、1950~1972年は「ほぼ完成」、1918~1949年は「なんとか完成」という状態であり、1972年以前のデータには不完全な部分がある。今回の調査では、データに不完全な部分ある選手は排除し、シーズンないし通算のデータがしっかり揃っている選手のみを対象としている。

まず、シーズン記録を見てみると、「左vs左」の成績で打率が4割を超えているのは2人(対左腕100打席以上)。1925年のトリス・スピーカーが142打数59安打で打率.415、2004年のイチローが208打数84安打で打率.404をマークしている。スピーカーはこの年、自己最高の打率.389を記録。イチローも歴代最多の262安打で自己最高の打率.372をマークしている。

ちなみに、「左vs左」のシーズン安打数の1位は1978年のクリス・チャンブリスの93本(打率.289)、本塁打数の1位は1996年と1998年のケン・グリフィーJr.、2002年のバリー・ボンズが記録した20本。OPSの1位は2002年のボンズの1.532となっている。

「左vs左」のシーズン打率トップ5
トリス・スピーカー(1925年)142打数59安打 打率.415
イチロー(2004年)208打数84安打 打率.404
ケン・グリフィー(1976年)150打数59安打 打率.393
ビリー・バックナー(1978年)162打数63安打 打率.389
トッド・ヘルトン(2003年)199打数77安打 打率.387
※対左腕100打席以上が対象

一方、通算記録を見てみると、対左腕1000打席以上の打者のなかで最も打率が高いのはイチローだ。2842打数935安打で打率.329をマークし、これは通算打率の.311を上回っている。対左腕の通算打率が3割を超えている左打者はイチローを筆頭に5人しかおらず、27位には松井秀喜(1379打数391安打、打率.284)の名前もある。

「左vs左」の通算打率トップ5
イチロー 2842打数935安打 打率.329(.311)
トニー・グウィン 3226打数1048安打 打率.325(.338)
ロッド・カルー 2905打数900安打 打率.310(.328)
ラリー・ウォーカー 2109打数645安打 打率.306(.313)
チャーリー・ブラックモン 1269打数385安打 打率.303(.304)
※対左腕1000打席以上が対象(カッコ内はキャリア通算打率)

「左vs左」の通算打率が3割を超えている上記の5人のうち、「左vs左」の打率がキャリア通算打率を上回っているのはイチローだけ。イチローは「左腕に強い左打者」の代表格と言えそうだ。

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