いずれ島の特産品に つばき油「宇久乃華」製造・販売始まる

「宇久島の特産品として活性化につなげたい」と話す宮崎さん=佐世保市三浦町、「させぼ観光酒場 99」

 佐世保市の離島、宇久島でつばき油の製造・販売が始まった。島内には原料となるヤブツバキが多く自生し、かつては油を作る家庭もあったが、近年は島外の業者に供給するだけなのが実情。関係者は「いずれ島の特産品にしたい」と意欲を燃やしている。
 つばき油作りに乗り出したのは宇久島離島活性化協議会副会長の宮崎吉男さん(67)。宮崎さんによると、島には至る所にツバキが自生し、以前は家庭で油を作っていた。しかし、化粧品の普及などで作り手は減少。今では島で取れたツバキの実を五島市の業者に販売している。
 宮崎さんは昨年、つばき油作りに初めて挑戦。自分で拾ったり島外に販売していた人から買い取ったりして実を集め、五島市まで作り方を習いに行った。一般的に殻付きのままで実を搾ることが多いが、宮崎さんは手作業で一つ一つ殻をむいて実を取り出す。加熱処理をしない生搾りにもこだわっている。
 特産品の開発に熱意を注ぐのには理由がある。雇用創出や観光の盛り上げを目指す「宇久島オリーブ振興協議会」で理事長を務めていたが、2年前に病で退いた。「島を何とかしたいという思いでやってきたので悔しかった。でも何かしなければ人生は面白くない」と前向きに語る。
 つばき油は「宇久乃華(うくのか)」(50ミリリットル1300円)として佐世保市愛宕町の道の駅「させぼっくす99」などで販売中。宮崎さんは「宇久には『これぞ』というものがなかった。次の世代につなげていきたい」と意気込みを話した。

© 株式会社長崎新聞社