核廃絶「可能」6割 ナガサキ・ユース代表団に本紙調査 否定3割 抑止論や関心の低さが壁

 長崎県の若者でつくる「ナガサキ・ユース代表団」の現役生、経験者のうち、「核廃絶が可能」と考える人が60%を占める半面、否定派も32%を数え、核保有国などが主張する根強い核抑止論、被爆国を含めた社会の関心の低さなどを“壁”と捉えていることが、長崎新聞社が実施したアンケートで分かった。被爆者なき時代に向け、若者による「継承」を活発化させるために、「資金や環境面でのサポート」を行政などに求める意見も目立った。
 代表団は県や長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会が、若者への啓発、国際社会で活躍できる人材育成を目的に2013年から県内の大学生などを対象に毎年募集し、現在が8期生。アンケート(選択式と記述式)は、若者の平和活動を巡る現状、課題を考えるため1期生から8期生までの全56人のうち、連絡先が判明した54人にメールなどで実施。7月上旬までに40人から回答があった(回収率74%)。
 「核廃絶は可能」と考える理由は、「核兵器は人がつくったものであり、廃絶できるのも人だから」(3期生・35歳女性)、「核兵器禁止条約の発効まで、(批准が)残り12カ国(回答時)となっているから」(6、7期生・22歳女性)など。これに対し、否定派の意見は「核抑止を安全保障の中核と考えている限り、核兵器は近代化される道をたどる」(5期生・24歳男性)、「国内での核問題への関心度がまだまだ低い」(5期生・23歳男性)などだった。
 経験者のうち、「今もボランティアや仕事で平和活動に取り組んでいる」は36%。具体的には、被爆者の体験を語り継ぐ「交流証言者」や学校現場での平和教育などだった。「携わっていない」は58%。その30%が「興味はあるが継続が難しいと思った」と理想と現実のギャップを訴え、このうちの複数の回答者が「仕事や学業との両立が難しい」と悩みを打ち明けた。
 ただ、「平和活動に今後携わりたいか」の問いには現役生も含め、92%が「はい」とし、高い意欲を示した。被爆の実相や被爆者の思いを次世代の若者が「継承」していくため、周囲の大人や行政、政治に求めたいことについては、「平和や核問題を『面白い』『もっと知りたい』と思える教材や授業づくり」(3、4期生・26歳女性)、「国際交流や異世代交流など若者の興味ある分野と結びつけ、才能や知識を向上させる取り組みの支援」(1期生・28歳女性)などが挙がった。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く現状が、核廃絶に向けた世界の連帯を促す好機になると思うかについては、「はい」35%、「いいえ」22%、「どちらでもない」43%と見方が割れた。

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