WEC:シーズン再開のスパでバイコレス復帰も、ジネッタとレベリオンの2台目が欠場へ

 WEC世界耐久選手権は7月20日、来月15日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される2019/2020年シーズン第6戦スパ・フランコルシャン6時間レースの暫定エントリーリストを発表した。

 新型コロナウイルスの世界的流行の影響を受け第5戦オースティン以降、2019/20年シーズンが中断されているWECは、8月13~15日に行われるWECスパで約6カ月ぶりにチャンピオンシップを再開させる予定だ。

 例年、ル・マン24時間レースの直前のレースとなるスパ・ラウンドはシーズンハイライトに向けた調整の場となるが、カレンダーが大幅に変更された今季も例外ではなく、LMP2クラスにはアジアン・ル・マン・シリーズなどで活躍するユーラシア・モータースポーツと、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズを主戦場とするアルガルベ・プロ・レーシングのスポット参戦が決定。この結果、同クラスでは今季初となる二桁の出走台数が予定されている。

 ユーラシア・モータースポーツはこのクラスで唯一となるリジェのLMP2マシン『リジェJS P217』を持ち込み、これを山中信哉とダニエル・ガント、未発表のもうひとりのドライバーに託す。当初この3人目にはニック・キャシディが起用されることがアナウンスされていたが、今回公開された暫定エントリーリストではその名を確認することはできない。

 一方、ポルトガルのアルガルベ・プロ・レーシングは、ジャッキー・チェン・DCレーシングとイオタ、ハイクラス・レーシングに続く4台目のグッドイヤータイヤユーザーとして登場予定。こちらはジョン・ファーブのみが登録され、残り2名のドライバーはTBAとなっている。マシンは最大派閥を形成する『オレカ07』だ。

■LMP1クラスは4台での争いに

 出場台数が増加したLMP2とは対象的に、最高峰のLMP1クラスは計4台と寂しいラインアップにとなった。その原因はジネッタG60-LT-P1・AER5号車と6号車を走らせてきたチームLNTのエントリー取り消しと、ル・マンに向けた参戦を予定していたレベリオン・レーシング3号車の欠場だ。

 ジネッタ勢がレース出場を見合わせるのは、輸送問題を抱えた前戦オースティンに続き2戦連続となるが、今戦の欠場理由は不明。なお、ブリティッシュチームはセブリングでWECに復帰する予定だったが、同イベントは新型コロナの影響を受けて中止となっている。

 1号車レベリオンR13・ギブソンのみの参戦に切り替えることになったレベリオン・レーシングは当初、このレースに3号車を登場させ、ルイス・デルトラス/ナタナエル・ベルトン/ロマン・デュマのトリオをデビューさせる予定だった。

 一方、リザーブリストからル・マン24時間の出場権を獲得したバイコレス・レーシングチームが、ル・マンの“前哨戦”となるこのスパラウンドで世界選手権に復帰する。お馴染みの4号車ENSO CLM P1/01・ギブソンにはトム・ディルマンと先日加入が発表されたブルーノ・シュペングラー、さらにもう1名が乗り込む予定だ。

 フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンの各ワークスが凌ぎを削るLM-GTEプロクラスは、これまでと同じ各社2台ずつ合計6台での戦いに。LM-GTEアマクラスは11台による戦いが展開される。

LM-GTEアマクラスのアストンマーティン・レーシングは、ダレン・ターナーに代えてアウグスト・ファーフスを起用する。

■フォーミュラE参戦ドライバーはデ・フリースのみ欠場

 なお、WEC第6戦スパは、8月にベルリンで6回のレースが予定されているABBフォーミュラE選手権の最終戦と一部日程が重なっていることから、ドライバー起用に関する懸念があった。
 
 しかし、両シリーズに並行参戦するセバスチャン・ブエミ(TOYOTA GAZOO Racing)、ジェームズ・カラド(AFコルセ)、アレックス・リン(アストンマーティン・レーシング)はそのどちらにも出場を予定しており、この3名はWECのレースウイーク序盤は不参加となる見込みだ。

 一方でレーシングチーム・ネーデルランドのニック・デ・フリースはフォーミュラEに集中するためWECを欠場することを選択。このため、オランダチームはヨブ・バン・アウタートを2019年のFIA-F2王者の代役として起用することを発表している。

■2019/2020年WEC第6戦スパ・フランコルシャン6時間レース 暫定エントリーリスト(7月20日版)

Pos. No. Class Team Car Driver Tyre

1 1 LMP1 レベリオン・レーシング レベリオンR13・ギブソン B.セナ
G.メネゼス
N.ナト MI

2 4 LMP1 バイコレス・レーシングチーム ENSO CLM P1/01・ギブソン T.ディルマン
B.シュペングラー
TBA MI

3 7 LMP1 トヨタ・ガズー・レーシング トヨタTS050ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス MI

4 8 LMP1 トヨタ・ガズー・レーシング トヨタTS050ハイブリッド S.ブエミ
中嶋一貴
B.ハートレー MI

5 22 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン P.ハンソン
F.アルバカーキ
P.ディ・レスタ MI

6 25 LMP2 アルガルベ・プロ・レーシング オレカ07・ギブソン J.ファーブ
TBA
TBA GY

7 29 LMP2 レーシングチーム・ネーデルランド オレカ07・ギブソン F.バン・イアード
G.バン・デル・ガルデ
J.バン・アウタート MI

8 33 LMP2 ハイクラス・レーシング オレカ07・ギブソン M.パターソン
山下健太
A.フィヨルドバッハ GY

9 35 LMP2 ユーラシア・モータースポーツ リジェJS P217・ギブソン 山中信哉
D.ガント
TBA MI

10 36 LMP2 シグナテック・アルピーヌ・エルフ アルピーヌA470・ギブソン T.ローラン
A.ネグラオ
P.ラゲ MI

11 37 LMP2 ジャッキー・チェン・DCレーシング オレカ07・ギブソン H-P.タン
G.オブリ
W.スティーブンス GY

12 38 LMP2 イオタ オレカ07・ギブソン R.ゴンザレス
A.F.ダ・コスタ
A.デビッドソン GY

13 42 LMP2 クール・レーシング オレカ07・ギブソン N.ラピエール
A.ボルガ
A.コニー MI

14 47 LMP2 チェティラー・レーシング ダラーラP217・ギブソン R.ラコルテ
A.ベリッチ
G.セルナジョット MI

15 51 LM-GTE Pro AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo J.カラド
A.ピエール・グイディ MI

16 71 LM-GTE Pro AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo D.リゴン
M.モリーナ MI

17 91 LM-GTE Pro ポルシェGTチーム ポルシェ911 RSR G.ブルーニ
R.リエツ MI

18 92 LM-GTE Pro ポルシェGTチーム ポルシェ911 RSR M.クリステンセン
K.エストーレ MI

19 95 LM-GTE Pro アストンマーティン・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR M.ソーレンセン
N.ティーム MI

20 97 LM-GTE Pro アストンマーティン・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR A.リン
M.マルタン MI

21 54 LM-GTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo T.フロー
F.カステラッチ
G.フィジケラ MI

22 56 LM-GTE Am チーム・プロジェクト1 ポルシェ911 RSR E.ペルフェッティ
L.ヘアー
M.カイローリ MI

23 57 LM-GTE Am チーム・プロジェクト1 ポルシェ911 RSR B.キーティング
F.フラガ
J.ブリークモレン MI

24 62 LM-GTE Am レッドリバー・スポーツ フェラーリ488 GTE Evo B.グリムス
J.モウレム
C.ホリングス MI

25 70 LM-GTE Am MRレーシング フェラーリ488 GTE Evo 石川資章
C.レドガー
K.コッツォリーノ MI

26 77 LM-GTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR C.リード
R.ペーラ
M.キャンベル MI

27 83 LM-GTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo F.ペロード
E.コラール
N.ニールセン MI

28 86 LM-GTE Am ガルフ・レーシング ポルシェ911 RSR M.ウェインライト
A.ワトソン
B.バーカー MI

29 88 LM-GTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR TBA
TBA
T.プライニング MI

30 90 LM-GTE Am TFスポーツ アストンマーティン・バンテージAMR S.ヨルック
C.イーストウッド
J.アダム MI

31 98 LM-GTE Am アストンマーティン・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR P.ダラ・ラナ
A.ファーフス
R.ガン MI

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