奨学金や消費者金融に計580万円借金のある26歳「どうすれば早く返せますか?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、奨学金や、クレジットカード、消費者金融に合計580万の借金のある26歳女性。返済に追われて貯金ができないそうですが…。FPの氏家祥美氏がお答えします。

奨学金が380万、クレジットカードや消費者金融から借りた借金が200万ほどあり、普段の生活が返済に追われカツカツで貯金ができません。どうすれば早く借金を返済できるでしょうか。

【相談者プロフィール】

女性、26歳、未婚

職業:会社員

住居の形態:社宅

毎月の世帯の手取り金額:15万円

年間の世帯の手取りボーナス額:260万円

毎月の世帯の支出の目安:17万円

【支出の内訳】

住居費:4.5万円

食費:3万円

水道光熱費:1万円

通信費:0.5万円

お小遣い:2万円

その他:6万〜

【資産状況】

毎月の貯蓄額:0

ボーナスからの年間貯蓄額:0

現在の貯蓄総額:0

現在の投資総額:0

現在の負債総額:580(奨学金380万、消費者金融・クレジットカード200万)


氏家: 今回は、奨学金と借金の返済に追われ生活が苦しい20代女性からのご相談です。このような状況の解決にはいくつかの方法があります。今回は、3つの方法を順番に検討して、出口を見つける方法を一緒に探していきましょう。

(1)家計の見直し
(2)借金の仕組みを知って返済の交渉を
(3)副業収入を検討

家計の見直しは「その他」に注目

最初に、家計の見直しを検討しましょう。ご相談者さんの支出の内訳を見る限り、住居費からお小遣いまでの5項目については何の問題もありません。15万円の手取り月収のうち、住居費、食費、水道光熱費、通信費、お小遣いを合計11万円でやりくりしているのは立派です。社宅に住めているので、その分家賃が抑えられているのもいいですね。

気になるのは「その他:6万円〜」の部分。ここが4万円以内であれば、月収内に収まるのですが、6万円〜となっているので月収の枠を超えていることがわかります。使い道は、借金の返済でしょうか。それとも、他の新たな買い物でしょうか。

目的が借金の返済であれば、その分ゴールに向かっているので問題はありません。また、やむを得ない支出であれば、それも仕方がないでしょう。

ただし、「その他:6万円〜」と大事な部分をぼやかしていることは問題です。直視したくない思い、後ろめたい思いを感じているのかもしれませんね。でも、とても大事な部分です。

「その他」には、どんな支出があるでしょうか。1つ1つ書き出しましょう。6万円〜は、実際いくらになりますか?合計額を計算しましょう。支出が明確になったら、その内訳を振り返り、「借金の返済」「やむを得ない支出」「削減可能な支出」に色分けをしてみましょう。それがわかって初めて、具体的な返済計画が立てられます。

ボーナスをコントロールすることが鍵

今回のご相談者さんの場合、月収は手取り15万円(15万円×12ヵ月=年間180万円)ですが、ボーナスが年間260万円あります。毎月の給料をはるかに上回る金額です。そのため、実は月々貯蓄や返済ができなくても、ボーナスをコントロールできていれば、それほど問題はないはずです。

ボーナスの使い道も、「その他」同様に、色分けをしてみましょう。

借金の仕組みを知ると返済の優先順位がわかる

ご相談者さんには、現在580万円の借入があります。このうち380万円は奨学金、200万円が消費者金融やクレジットカードです。日本学生支援機構の奨学金の場合、上限金利は3%となっていますが、近年はもっと低い金利です。消費者金融やクレジットカードの場合、どこで借りているかにもよりますが、15%前後あるでしょうか。

ここで、200万円を年利15%で借りた場合の支払い利息について考えてみましょう。
200万円×15%=30万円

この場合、200万円を借りて1年間返済しないでいると、年間30万円借金が増えます。30万円÷12ヵ月=2.5万円ですから、月額2万5000円の返済では、その年の利息を返しただけで、元金までは返せていないことになります。(話を分かりやすくするために、単純計算で説明しています。詳しくは借入先の発行する明細や、シミュレーション機能を使って確認してください)

金利が高い借金を利用している場合には、できるだけ短期で集中して元金を減らしていく必要があります。

奨学金の返済猶予の交渉を

一方の奨学金は、学生のための学費や生活費に利用目的が限定されている分、金利が低めに設定されています。こちらも借金ですから、返さなくてはなりません。ただし、生活が困窮して返済困難になった人のために、支払い猶予の制度があります。

日本学生支援機構の場合、経済的に困難な事由で「減額返還(返済額を減らせる)」できるのが、給与所得者の場合には年収325万円以下、「返済期限猶予(返済期間を延ばせる)」できるのが、年収300万円以下という規定があります。日本学生支援機構HPをご覧ください。

ご相談者さんの場合には、こちらの年収基準を超えていますが、まずは問い合わせをして、なにか返済を遅らせる手はないか相談をしてはいかがでしょうか。もしも奨学金の返済を遅らせるか減額できた場合には、金利の高い消費者金融の返済に注力できるようになります。

副業で収入を増やす方法も

もう一つ、返済スピードを速める方法としては、副業があります。現在の本業のほかに、別の仕事をして副収入を得るのです。本業の会社で副業が禁じられていないこと、本業に支障のない範囲内でやることが条件になります。社宅住まいということで、どこまでできるか気になりますが、もし可能であれば月に2〜5万円程度の収入を増やせるのではないでしょうか。

いろいろ書いてきましたが、まずは、家計を見直して「削減できる支出」をカットし、ボーナスを中心になるべくまとまった金額をクレジットカード・消費者金融の返済に充てましょう。金利の高い借金からなるべく早く返していきます。返済猶予の相談や、副業なども検討してみましょう。

それらもすべて試して無理な場合には、弁護士さんに相談して任意整理や自己破産という道もありますが、私が拝見する限りできることはまだまだあります。がんばってください。

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