F1 Topic:15〜18戦の開催は実現するのか。未だ開催されず、中止発表もない3カ国の行方

 新たにアイフェルGP(ドイツ・ニュルブルクリンク)、ポルトガルGP(アルガルベ)、エミリア・ロマーニャGP(イモラ)の3つのグランプリがカレンダーに加えられた2020年のF1。ただし、まだこれは最終的な日程となっていない。では、今後いくつレースが追加され、それはどの国で開催されるか?

 まず、確実に開催されそうなのが、中東でのグランプリだ。これは、7月24日に新しい日程を発表した際に、F1が「これまで語ってきたとおり、2020年の改訂された新しいF1の日程は年間で全15〜18レースとなり、12月中旬に湾岸諸国で終了する予定だ。今後数週間でカレンダーの最終的な詳細を発表する」と語っているからだ。つまり、噂されているように、バーレーンで2戦を行った後、アブダビで最終戦を行うと考えていいだろう。

 当初の予定ではアブダビGPは11月27日〜29日までとなっていたから、バーレーンでの2戦はその前の2週間、11月13日〜15日と11月20日〜22日となる模様だ。

 現時点で日程の最後として発表されている第13戦エミリア・ロマーニャGP(イモラ)の日程が10月31日〜11月1日となっているから、1週間のインターバルをはさんで中東ラウンドへ向かうというのも、日程的に問題ないと考えられる。

2019年F1最終戦アブダビGP マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールがドーナツターンを披露

 ただし、それであれば、F1は「新しい日程は16戦になる」と断定してもよさそうなのだが、いまだ「全15〜18レースになる」と言っているところを見ると、中東での連戦以外にも、F1はまだほかの国でもレースの追加を模索しているともとれる。

 というのも、7月24日に新しい日程が発表されたリリースには、「われわれのパートナーとの継続的な議論と緊密な協力の後、COVID-19のパンデミックが収束していない地域およびコミュニティとわれわれの安全を考慮し、ブラジル、アメリカ、メキシコ、カナダで今シーズン中にレースを開催すること断念した」と、北南米でのレースの中止が正式に発表されたものの、まだ正式に中止が発表されていないグランプリがいくつか残っているからだ。

 北南米大陸でのF1以外に、すでに2020年のF1開催の中止を発表しているのが、オランダGP、モナコGP、フランスGP、アゼルバイジャンGP、シンガポールGP、日本GP。このの5つのグランプリに関しては、2020年の復活はない。

 逆に当初の予定にありながら、まだ開催しておらず、正式に中止という発表もないのが、オーストラリアGP、ベトナムGP、中国GPの3つだ。

 オーストラリアGPに関しては、当初開幕を予定していた3月13日に突然の中止を発表してたが、それはサーキットに詰めかけた観客の混乱を沈めるために使用された言葉であって、オーストラリア・グランプリ・コーポレーションCEOのアンドリュー・ウェスタコットは「チャンスがあれば、シーズン後半に開催したい」とも語っていた。

2020年F1第1戦オーストラリアGP金曜 F1および主催者が中止に関する記者会見を行う

 そこで鍵を握るのがベトナムの存在だ。オーストラリアはフライアウェイラウンドとなり、機材をチャーター機で輸送しなければならないのだが、ヨーロッパからの中間点にあるベトナムとの連戦となれば、輸送費をベトナムと折半できるからだ。

 ただし、オーストラリアは7月上旬の段階でオーストラリアへの渡航者のすべての入国を禁止しており(オーストラリア市民および永住者を除く)、ベトナムもすべての国・地域からの外国人の入国を停止するという、オーストラリアと同様に厳しい入国制限が続いており、現時点でF1を開催できる状況にない。

 中国に関しては、ビジネス目的に限って、外国人の入国制限の緩和を進めており、中国GPの主催者もレース再開を望んでいることを考えると、主催者がF1開催に関してなんらかの特例を設け、F1開催を積極的に招致しても不思議はない。

 ただし、F1に限らず、ヨーロッパの多くの諸国が、新型コロナウイルスの感染が世界で最初に拡大した中国で事業を行うことを敬遠し始め、外資系企業が中国から相次いで撤退するような状況を考えると、それらの企業との結びつきが強いF1が中国でレースを行うのは現実的には難しいだろう。

 そうなると、現時点で2020年のF1は、バーレーンでの2連戦と最終戦アブダビGPを加えた全16戦に収まりそうだ。

F1ベトナムGPの舞台ハノイ・サーキット

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