2019/20年フォーミュラE:第6戦、第7戦ともにダ・コスタが圧倒。2戦連続ポール・トゥ・ウインを飾る

 8月5~6日、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港で2019/20年フォーミュラE選手権の第6戦、第7戦ベルリンE-Prixが開催され、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)が2連勝を飾った。

 ニッサン・e.ダムス勢は第6戦でセバスチャン・ブエミが7位、オリバー・ローランドが14位という結果だったが、第7戦ではブエミが2位表彰台を獲得、ローランドは7位に入り2台ともにポイントを獲得している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、3月よりシーズンがストップしてしまっていたフォーミュラE。しかし8月5日から感染防止策をとったうえで、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港跡地に設けられた特設サーキットで第11戦までの2019/20年シーズンが行われる。

 第6戦のポールポジションを獲得したのはダ・コスタとなり、2番グリッドにはチームメイトのジャン・エリック・ベルニュ(DSテチーター)が続いた。3番手には日本でもおなじみのアンドレ・ロッテラー(タグ・ホイヤー・ポルシェ)がつけた。

 45分間で争われる決勝レースのスタートでは、ダ・コスタがスタートを完璧に決めトップをキープ。1周目終了時に3番手ロッテラーに約2秒の差をつけ快走を見せる。

 2016年と2017年にこのベルリンで優勝した経験がある4番手走行のブエミは、3番手ロッテラーから連なる争いに飲み込まれてしまい、5番手のニック・デ・フリース(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)にポジションを明け渡してしまう。

2019/20年フォーミュラE第6戦 レーススタートの様子
2019/20年フォーミュラE第6戦 セバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)

 レース後半にはマシンをパワーアップできるアタックモードが導入され、3番手ロッテラーと4番手に浮上したデ・フリースがバトルを展開。

 一度はデ・フリースがロッテラーの前に出るが、再び35kWのブーストを使用したロッテラーがポジションを取り返し、その後デ・フリースは5番手走行のサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)にもオーバーテイクを許してしまった。

 レース残り15分、フェリペ・マッサ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)とストフェル・バンドーン(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)がバトルを繰り広げるが、マッサがウォールにヒットしてしまいフルコースイエローが導入される。

 再スタートが切られると首位のダ・コスタはトップをキープするが、2番手のベルニュは徐々にポジションを落としてしまう。最終的にはダ・コスタが逃げ切りトップフィニッシュ、2位にはロッテラーが続き、3位には7番グリッドからポジションを上げてきたバードが入った。

 ポールポジションを獲得し、レースのファステストラップと優勝を飾ったランキングトップのダ・コスタは、今レースで合計30ポイントを獲得し、ランキング2位のミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)に40点という大差をつけている。

2019/20年フォーミュラE第6戦 スタート後の1コーナーの様子
2019/20年フォーミュラE第6戦 優勝を喜んでガッツポーズするダ・コスタ

■第7戦もダ・コスタが圧倒的な速さを見せつける

 翌日に行われた第7戦でもダ・コスタは圧倒的な速さを見せつけ、2番手にコンマ4秒という差をつけポールポジションを獲得した。その2番グリッドにはニッサン・e.ダムスのブエミが続き、3番手は急遽ベルリン戦から参戦することになったアレックス・リン(マヒンドラ・レーシング)となった。

 ダ・コスタは再び決勝レースのスタートで好ダッシュを切り、2番手スタートのブエミに付け入る隙を与えない。3番グリッドのリンは1コーナーでブレーキが遅れてしまい、4番手のデ・フリースにかわされてしまう。

 オープニングラップで速さを見せたのは、チャンピオンシップを争うマキシミリアン・ギュンター(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)だ。ギュンターは11番手からのスタートだったが、2周目には8番手にまで浮上してくる。

 追い上げを見せるかと思われたギュンターだったが、9周目にまさかのパンクに見舞われてしまう。チームはリタイアを決め、ギュンターはチャンピオンシップ争いから脱落してしまった。

2019/20年フォーミュラE第7戦 レーススタートの様子
2019/20年フォーミュラE第7戦 ニック・デ・フリース(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)

 ダ・コスタとブエミのトップ2台は好走を見せ、3番手デ・フリースとの差を徐々に広げていく。デ・フリースはその後ロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)に交わされポジションダウンしてしまい、レース残り26分というところではマシンがストップしてしまう。

 このデ・フリースのストップによってフルコースイエローが提示された。レースは残り20分で再スタート、トップのダ・コスタは2番手ブエミに2秒の差をつけアタックモードに入り、逃げ切りを図る。

 レース後半、ルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、フラインス、バンドーンという3台の3位争いが激化、表彰台の一角を争うバトルに注目が集まる。ファイナルラップにはこの争いに4番手を走行していたバードも追いつき、四つ巴のバトルが展開された。

 そしてレースはチェッカーを迎え、首位の座を一度も明け渡さなかったダ・コスタがトップでフィニッシュし、シーズン中断前の第5戦とあわせ3連勝を達成した。2位にはニッサンのブエミが続き、今シーズン初の表彰台を獲得、注目の3位には、なんとかポジションを守りきったディ・グラッシが入った。

 ドライバーズランキングでは連勝を挙げたダ・コスタが圧倒し、2番手につけるディ・グラッシとバンドーンに対して68ポイントという大差を付けている。フォーミュラEのベルリン戦は、8月8~9日に第8戦、第9戦が続けて開催される予定だ。

2019/20年フォーミュラE第7戦 アレックス・リンとロビン・フラインスのバトル
2019/20年フォーミュラE第7戦 表彰台でジャンプするダ・コスタ

■ABBフォーミュラE選手権第6戦、第7戦順位結果

■ABBフォーミュラE選手権第6戦順位結果

Pos No. Driver Team Laps QF

1 13 A.F.ダ・コスタ DSテチーター 36 1

2 36 A.ロッテラー タグ・ホイヤー・ポルシェ 36 3

3 2 S.バード エンビジョン・ヴァージン・レーシング 36 7

4 17 N.デ・フリース メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 36 5

5 64 J.ダンブロシオ マヒンドラ・レーシング 36 6

6 5 S.バンドーン メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 36 16

7 23 S.ブエミ ニッサン・e.ダムス 36 4

8 11 L.ディ・グラッシ アウディスポーツ・アプト・シェフラー 36 21

9 27 A.シムズ BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 36 17

10 66 R.ラスト アウディスポーツ・アプト・シェフラー 36 14

11 18 N.ジャニ タグ・ホイヤー・ポルシェ 36 18

12 94 A.リン マヒンドラ・レーシング 36 12

13 20 M.エバンス パナソニック・ジャガー・レーシング 36 9

14 22 O.ローランド ニッサン・e.ダムス 36 8

15 51 J.カラド パナソニック・ジャガー・レーシング 36 24

16 3 O.ターベイ NIO 333レーシング 36 19

17 48 E.モルタラ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 36 15

18 33 D.アプト NIO 333レーシング 36 22

NC 25 J-E.ベルニュ DSテチーター 36 2

NC 7 N.ミューラー ジェオックス・ドラゴン 36 20

NC 19 F.マッサ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 22 10

NC 4 R.フラインス エンビジョン・ヴァージン・レーシング 8 11

DSQ 28 M.ギュンター BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 36 13

DSQ 6 S.セッテ・カマラ ジェオックス・ドラゴン 36 23

■ABBフォーミュラE選手権第7戦順位結果

Pos No. Driver Team Laps QF

1 13 A.F.ダ・コスタ DSテチーター 38 1

2 23 S.ブエミ ニッサン・e.ダムス 38 2

3 11 L.ディ・グラッシ アウディスポーツ・アプト・シェフラー 38 6

4 4 R.フラインス エンビジョン・ヴァージン・レーシング 38 5

5 5 S.バンドーン メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 38 13

6 2 S.バード エンビジョン・ヴァージン・レーシング 38 9

7 22 O.ローランド ニッサン・e.ダムス 38 7

8 48 E.モルタラ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 38 10

9 36 A.ロッテラー タグ・ホイヤー・ポルシェ 38 12

10 25 J-E.ベルニュ DSテチーター 38 8

11 94 A.リン マヒンドラ・レーシング 38 3

12 20 M.エバンス パナソニック・ジャガー・レーシング 38 17

13 66 R.ラスト アウディスポーツ・アプト・シェフラー 38 24

14 7 N.ミューラー ジェオックス・ドラゴン 38 19

15 18 N.ジャニ タグ・ホイヤー・ポルシェ 38 20

16 33 D.アプト NIO 333レーシング 38 22

17 6 S.セッテ・カマラ ジェオックス・ドラゴン 38 21

18 3 O.ターベイ NIO 333レーシング 38 16

19 27 A.シムズ BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 38 15

20 51 J.カラド パナソニック・ジャガー・レーシング 38 23

NC 19 F.マッサ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 38 18

NC 28 M.ギュンター BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 27 11

NC 17 N.デ・フリース メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 15 4

DSQ 64 J.ダンブロシオ マヒンドラ・レーシング 38 14

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