MotoGP第5戦:ヤマハのビニャーレスがオーストリアGPで2020年初のポール獲得

 MotoGP第5戦オーストリアGPの予選がオーストリアのレッドブル・リンクで行われ、MotoGPクラスはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がポールポジションを獲得。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はQ2へのダイレクト進出を果たし、10番手だった。

 フリー走行3回目はウエットコンディションでスタートした。MotoGPクラスのセッションが始まるころには雨は上がっていたものの、いまだコースの一部では水じぶきが上がる路面状況。よって、ライダーはセッション序盤、レインタイヤを履いて走行を開始した。

 雲間に青空がのぞき、コースにはドライパッチが見え始める状況のなか、序盤にアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)がトップタイムをマーク。しかしその後、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、さらにはミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)がトップタイムを更新する。

 セッション開始20分を過ぎるころになると、特にレコードラインはドライコンディションに近づいているようだった。いち早くスリックタイヤを履いて走行し始めたのはブラッドリー・スミス(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)だったが、この時点ではまだスリックタイヤノ方がタイムが出る状況ではなかったようだ。ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)が、レインタイヤでトップタイムをマークしている。

 しかしさらに路面状況が回復してきた残り時間15分ごろ、スミスやアレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がスリックタイヤでタイムを更新。このころになるとライダーたちは続々とレインからスリックタイヤに交換していった。

 前日午後のフリー走行2回目でもウエットからドライに向かう難しいコンディションだったため、すべてのライダーがフリー走行1回目の自身のベストタイムを更新できずにいた。よって、特に初日総合11番手以下のライダーにとって予選でQ2にダイレクト進出を果たすためには、このセッションでタイムを詰めなければならない、という状況だ。

 この時点で、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのマーベリック・ビニャーレスやバレンティーノ・ロッシ、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が、総合としてトップ10圏外にいた。

 残り時間6分、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が1分25秒281の1番手タイムをマーク。しかしその直後、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が1分24秒832を記録してトップ。さらにビニャーレスが3番手に浮上する。残り時間5分を切って、上位陣のタイムはフリー走行1回目のタイムに接近。残り時間との勝負となる。

 こうした中、ついにビニャーレスが1分24秒317のタイムをマークし、自身のフリー走行1回目のベストタイムを更新。セッション1番手、総合3番手に食い込んだ。これによって総合11番手に押し出されたのがファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)だった。残り時間は1分。
 総合11番手のクアルタラロ。最後のアタックでタイムを詰めることに成功し、セッション8番手、総合10番手に滑り込んだ。

 ビニャーレスはそのままセッションをトップで終えた。セッション2番手にジャック・ミラー(プラマック・レーシング)、3番手がドヴィツィオーゾで、4番手にリンス、5番手にフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が続いた。

 3回のフリー走行の総合結果としては、トップがエスパルガロ弟、2番手がドヴィツィオーゾ、3番手がビニャーレスで、4番手ミラー、5番手には中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がつけ、中上はQ2へのダイレクト進出を決めた。

 フリー走行4回目もドライコンディションで行われた。セッション後半にはエスパルガロ弟が9コーナーでクラッシュ。しかし序盤に記録したタイムで、エスパルガロ弟はセッションをトップで終えた。2番手はロッシ、3番手はドヴィツィオーゾで、中上は16番手だった。

■予選:ビニャーレスが今季初ポールを獲得

 Q1は気温26度、路面温度41度のドライコンディションで行われた。Q1から予選に挑むのは、前戦で優勝を飾ったブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)やザルコ、ロッシ、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)などである。

 最初のアタックではザルコがトップ、2番手にはペトルッチがつける。2度目のアタックに入り、残り時間わずかとなってもザルコのトップは変わらず、ペトルッチはタイムを更新しつつ2番手を維持していた。

 しかしチェッカーフラッグ後の最後のアタックで、ロッシが1分23秒915をマーク。最後の最後に2番手に飛び込んだ。最終的にザルコがトップ、ロッシが2番手となり、Q2進出を決めた。

 3番手にはペトルッチ、4番手にはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)がつけたが、このふたりはセッション終盤に交錯するシーンがあったようで 、ペトルッチはコース上だけではなく、Q1が終了してピットに戻ってからもボディアクションで怒りをあらわにしていた。また、ビンダーはQ1を突破できず、オーストリアGPの決勝レースを17番グリッドから迎える。

 Q2はビニャーレスとクアルタラロがワン・ツーを奪い合う形で始まった。ミルやミラー、リンスなどがタイムを更新するも、ヤマハライダーのふたりには届かない。また、Q2へのダイレクト進出を果たした中上は11番手につけてセッション後半を迎える。

 セカンドアタックで、ビニャーレスは自身のトップタイムをさらに更新。残り時間2分を切って、ドヴィツィオーゾがそのタイムを短縮してみせたが、ビニャーレスがさらに1分23秒450を叩き出してトップを奪い返す。

 ビニャーレスはこのタイムでポールポジションを獲得。今季初、2019年シーズン第17戦オーストラリアGP以来のポール獲得となった。最後のアタックで浮上したミラーが2番手、さらに3番手にはクアルタラロが入った。

 4番手にはドヴィツィオーゾ、ここまで好調さを見せているエスパルガロ弟は5番手を獲得。中上は10番手で、決勝レースを4列目から迎える。

2020年MotoGP第5戦オーストリアGP マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2020年MotoGP第5戦オーストリアGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2020年MotoGP第5戦オーストリアGP ジャック・ミラー(プラマック・レーシング)
2020年MotoGP第5戦オーストリアGP ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

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