諫早・轟峡崖崩れ 原因究明組織設置へ 危機意識の薄さに批判噴出

轟峡の出入り口にあたる県道沿いの看板に貼られたままの「閉鎖中」の案内=諫早市高来町

 諫早市は21日の市議会全員協議会で、先月25日の同市高来町の轟峡崖崩れについて、専門家を交えた原因究明組織の設置準備を進めていることを報告した。市議会側は轟峡の安全対策などをただしたが、市から十分な回答が示されない場面が相次ぎ、危機管理意識の希薄さに批判が噴出した。
 崖崩れは県道から轟の滝に下る遊歩道で発生。観光で訪れていた長崎市の母子3人が巻き込まれ、2人が死亡、1人が負傷。県は死亡した2人を7月豪雨の災害関連死に認定した。
 市によると、轟峡一帯は市が所有、管理。市商工振興部が観光活用の観点で所管し、諫早観光物産コンベンション協会に遊歩道などの清掃を委託している。
 市総務部は原因究明組織の設置に向け、専門家を人選中であると説明。死亡した2人の居住地だった長崎市が災害弔慰金支給法に基づき、弔慰金に関する対応を担当すると報告した。
 先月29日の衆院国交委員会で赤羽一嘉国交相が、大雨後に立ち入り制限をかけなかった諫早市の対応に言及。市議会側は発生後の経過報告、轟峡の観光活用の根拠、土砂災害警戒区域が含まれる轟峡の立ち入り禁止の判断基準の有無、定期点検の有無をただしたが、市側は「原因究明組織による検討結果をしかるべき時期に議会に報告する」と答えるにとどまった。
 これに対し、市議会側は「この場限りの逃げの答弁。危機意識はあるのか」「轟峡を担当する商工振興部が出席していないのは問題。全庁的に対応しなければ、諫早市を訪れる人はいなくなる」と厳しい指摘が相次いだ。
 市などは発生翌日の先月26日、現地を確認したが、その後、天候不順が続き、本格的な調査は実施していない。轟峡一帯は閉鎖され、現場近くの県道も通行止めが続いている。

 


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