トラックあおられ横転 台風9号 長崎県内4万3000戸停電

風にあおられて横転した軽トラック=午後5時1分、五島市富江町田尾

 大型で非常に強い台風9号は2日夜、長崎県に最接近し、五島をはじめ県内ほぼ全域が風速25メートル以上の暴風域に入った。長崎地方気象台によると、五島市上大津では観測史上最大となる最大瞬間風速42.7メートルを記録。台風接近に伴い、交通機関がストップしたほか、学校の休校や商業施設も午後から臨時休業するなど、市民生活に大きな影響が出た。
 気象台によると、最大瞬間風速は、午後9時までに、五島市上大津のほか長崎市野母町40.5メートル、五島市福江39.7メートル、新上五島町有川37.9メートルなどを観測した。
 五島市富江町田尾の主要地方道では、ほろ付きの軽トラックが風にあおられて横転。五島署によると、けが人はなかった。同市には「窓ガラスが割れた」「街灯が倒れている」「倒木が道路をふさいだ」などの情報が相次いで寄せられた。
 県災害警戒本部によると、県内全域に暴風警報が出され、各地に避難勧告や避難準備情報が出た。午後8時現在、県内の避難所計264カ所に1144世帯1481人が避難した。九州電力送配電によると、午後9時現在、五島市など県内全域で約4万3040戸の停電が発生している。
 交通機関も乱れた。本土と五島を結ぶフェリー、ジェットフォイルが全便欠航。長崎空港発着の空の便も午後は全て欠航した。長崎電気軌道は夕方以降、運休した。九州商船や五島産業汽船などは3日も始発便の欠航を決めた。平戸市の生月大橋や西海市の大島大橋などは全面通行止めとなった。
 長崎市脇岬町では、高潮の影響で国道499号の一部が冠水し、約1.2キロが全面通行止めになった。
 県内の全ての公立小中学校と、ほとんどの県立高では臨時休校や下校時間の繰り上げの対応を取った。明日も一部の小中高校で登校時間を遅らせる予定。県内の大型商業施設や観光施設でも、営業時間短縮が相次いだ。


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