【自民党総裁選】神奈川県内党員、菅氏に高まる期待 若手や女性求める声も

出陣式を終え、支持する国会議員らの声援を受けながら会場を後にする菅氏=東京都内のホテル

 自民党の総裁選が8日に始まった。神奈川県内の自民党員の間では地元選出の菅義偉官房長官への期待が高まり、新型コロナウイルス対策や、コロナ禍で停滞する経済の立て直しへの期待が多く聞かれた。一方で、若手や女性の総裁を求める声も上がった。

 菅氏のお膝元でもある横浜市南区で薬局と保育園を経営する高橋一成さん(69)は「新総裁は菅さんしかいない」と力を込めた。父の葬儀と長男の結婚式に来てもらったといい、地域の小さな催しにも東京から駆け付ける菅氏に「地元に対して熱い人。今こそ恩返しの時だ」と意気込む。

 新総裁には、コロナ禍からの経済の立て直しを強く望む。コロナ以降はお金を貯蓄に回す人が多くなったと実感し、「人がお金を使えるよう経済を活性化し、大企業だけでなく中小企業も潤い、みんなが幸せになる経済政策」を期待した。

 「菅さんは防衛や財務を経験しておらず、首相になったらいい官房長官が必要だ。演説も岸田さんや石破さんに劣る。だが、菅さんがいい」。川崎市川崎区の建設業の男性(77)は、裏腹な思いを語る。「地元の人なら意見も通じやすい気がする。地元にいいこともあるのでは」

 党員投票がなかったことに「全体で投票ができた方がよかった」との思いはあるが、コロナ禍で後任を早く決める必要があったと納得しているという。

 「全く新しい人が引き継ぐと、体制を構築してからのスタートになる。菅さんが政権を引き継げば、今の状況を保てる」。横須賀市薬剤師会会長の髙橋達也さん(60)はそう話す。コロナ禍にあって、「大切なのは粛々と業務を遂行すること。菅さんが一番適任」と考えている。

 仕事を通じて受診控えなども実感しており、新総裁には「命が関わっている、新型コロナ対策をまず求めたい」という。

 大井町の農家の男性(73)は「次期総裁は菅さんになってほしい。人柄は信用できるし、安定感があって真面目。安倍政権では一部に不信感を持たれた。払拭(ふっしょく)して政権を継続してほしい」と語り、「次期政権の最優先は安全保障。安倍さんはバランスよく外交政策を打った。価値観を継承して」と注文した。

 「候補の3人には、いい人はいない。もっと若い人。特に女性に総裁になってほしい」と話すのは相模原市内でエステサロンを経営する女性(70)。県連から予備投票の用紙が届いたものの、誰に投票するのか決めかねている。「派閥や数の原理ではなく、政策を競い合って新総裁が決まってほしい」

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