台風10号 長崎県内の一部で停電続く ポンプ停止で断水も

断水に伴い、給水所を訪れた市民=西海市崎戸町

 台風10号の影響で、長崎県内の一部では8日も停電が続いた。九州電力送配電によると、同日午後4時現在、6市3町の約計1万4080戸が停電。このうち、全戸数の15%に当たる3千戸を数えた西海市では、市役所本庁や養護老人ホームなどが自家発電で急場をしのいだ。同市では崎戸町を中心に、停電で断水も続き、空のペットボトルを抱えて給水所を訪れる市民は疲労の色をにじませた。
 同町の養護老人ホームさいかいは、発電機で照明などに必要な最低限の電力を確保。食事が作れないため、業者からの給食に切り替えた。停電から約36時間後の午後4時前にようやく復旧。前平義昭施設長(42)は「エアコンも入浴もできず、入所者やスタッフもストレスがたまっていた。(電気だけでも復旧し)ほっとした」と話した。
 一方、停電で配水池に送水するポンプが停止し、同市によると、正午現在、同町などの約4千世帯で断水が続いた。市は給水車3台を出して対応。給水所を訪れた70代女性は「新型コロナウイルスで手洗いは欠かせないが、節約して使っている」と話した。
 市立崎戸小は断水や、体育館の屋根の破損で臨時休校。同町などでは崎戸イセエビ祭りが開催中だが、相次ぐ台風で漁業者が出漁を見合わせており、西海大崎漁協崎戸支所によると、しばらく入荷が見込めないという。
 九州電力送配電によると、午後10時現在、残り3市1町の約3260戸まで復旧が進んだ。9日夕方ごろまでの全面復旧を目指している。

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