「Go To 」東京追加に期待と不安 長崎県内観光業

貸衣装姿で出島和蘭商館跡を散策する観光客。「Go To トラベル」の東京追加方針に県内の関係者からは期待や不安の声が聞かれた=長崎市出島町

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象への東京追加方針に、長崎県内の観光関係者からは11日、新型コロナウイルス問題で落ち込んだ本県観光業の回復への期待感の半面、移動が活発になることで感染拡大を懸念する声も聞かれた。観光地や宿泊施設は感染防止に一層、気を引き締めている。
 同日午後、長崎市出島町の国指定史跡「出島和蘭商館跡」には、「Go To トラベル」を利用した観光客らの姿があった。福岡県から来た学生5人組は「春の旅行を断念していたので、ようやく来られた」と笑顔で散策していた。
 出島運営管理事務所によると、「Go To トラベル」が始まった7月以降、入場者が増加。8月は6月の約3倍に伸びた。中村哲所長は、東京の追加で観光客が増えると予測し「地域活性化の面からもありがたい。今まで以上に感染防止対策に気を引き締め、お迎えしたい」と話した。
 「Go To トラベル」効果で多くの観光客が来園している佐世保市のハウステンボス。園内で感染が広がらないよう、サーモグラフィーでの検温など、できる限りの対策を講じてきた。担当者は「東京のお客さまが来ることで、県内の方が不安に思われるかもしれない。安心して過ごしていただけるよう引き続き対策していく」と力を込める。
 一方、全国的に感染が収まっていない中で東京が追加されることに、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な離島では特に懸念が大きい。新上五島町で宿泊業に携わる60代女性は、10月に東京からの団体予約が入っているとして「自分自身が感染源となる不安もあるし、ツアーのバスがホテル前に横付けしていたら近隣の目も気になる。お客さんを受け入れることへの後ろめたさもある」と複雑な表情を見せた。

 


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