自民総裁に菅氏 県民反応 地方大切にする政策を

温泉街の足湯施設で和む観光客。苦戦する観光業界からは一層の公的支援を求める声も上がる=雲仙市小浜町

 「農家の苦労を理解してくれそう」。秋田県の農家出身である菅氏に、島原市の農家、松本綾子さん(50)は親近感を抱く。「スマート農業やICT(情報通信技術)化を進め、若者が就農しやすい環境づくりを頑張って」と期待。松浦市で交流イベントなどを続ける小川弘志さん(69)は「若者が子育てをしやすく、いろんな世代が生き生きと働ける社会を目指してほしい」と求めた。
 一方、対馬海峡でマグロ引き縄漁をしている対馬市の宮崎義則さん(63)は「安倍政権下ではマグロの漁獲規制などで生活が成り立たなくなり、本土へ出稼ぎに行く漁民が増えた」とこぼす。「地方を大切にする政策を実行してほしい。このままでは対馬の漁業は崩壊してしまう」と危機感を強めた。
 県内就職を目指す長崎純心大3年の田中志乃羽さん(20)は「アベノミクスで景気が良くなったのは一部の大企業だけ」と不満顔。「地方にもお金を回して活気づけて。賃金や福利厚生が充実した企業が増えてほしい」と話した。
 新型コロナウイルス対策を巡り、佐世保市の団体職員、眞藤信吾さん(27)は「マスクの配布は必要なかったと思うし、経済支援も他国と比べて遅かった」と苦言。冬場にかけてインフルエンザと同時流行の恐れがあることに危機感を示し「医療や検査体制の拡充にスピード感を持って取り組んで」と求めた。
 コロナ禍で苦戦が続く観光業界からは、さらなる公的支援を求める声も。雲仙温泉観光協会長の宮崎高一さん(57)は、菅氏が総務相時代に地方創生を推進したことに触れ「地域活性化には新たな視点が必要。観光地で(働きながら休暇を過ごす)ワーケーションができる環境整備を急いでもらいたい」と要望した。

© 株式会社長崎新聞社