2人の“ロマン砲”がオリックスを変える? 専門家が指摘する杉本&大下への期待

オリックス・杉本裕太郎【写真:荒川祐史】

オリックスの打線を専門家が分析

8月21日に西村徳文監督が辞任した後、オリックスの指揮を採っているのが中嶋聡監督代行だ。若手を積極起用する新指揮官の采配は今、チームに競争をもたらしている。9月に入って存在感を見せているのが杉本裕太郎外野手と大下誠一郎外野手の2人だ。現役時代、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は、長打力のある2人に対し「下位打線に定着すると面白い打線になる」と注目している。

杉本と大下は9月に入ってからの活躍で、チーム内での評価を高めている。杉本は監督が交代した8月21日に今季初めて1軍に昇格。8月は打率.120と苦しんだが、9月に入って調子を上げ、ここまで月間打率.385。松本氏は杉本について、こう解説する。

「まだいい時と悪い時がはっきりしている。上手くタイミングが取れれば4安打打つ日もあるし、全然合っていない時もある。その日の投手によって波がある。ただ、それはまだ若手なので仕方のないこと。平均して打てるようになっていけば、監督にも安心して使ってもらえる。使ってもらう中でいろんな投手の球に慣れていけば、どういうバッティングをすればいいかが分かってくる。技術的にもいいものを持っていて、長打力も打てるし、期待できる」

支配下登録された大下はムードメーカーとしても存在感を発揮

一方、プロ1年目の大下は、14日に育成から支配下に登録され、翌15日に1軍に昇格。「8番・三塁」でスタメン起用されると、1打席目にプロ初本塁打を放った。ベンチでも積極的に声を出すなど、早くもムードメーカー的存在だ。松本氏は言う。

「大下は声もすごく出ているし、15日にプロ1打席目で本塁打を打って盛り上がった。(起用は)正解だった。スイングが速く、ファウルでもいいファウルになっている。軸がしっかりしていて、非常に楽しみなバッティングをしている。ヒットを重ねていける選手。長距離砲ではないが、ライナーが結果的に本塁打になるような当たりを打てる。もう少しチャンスをもらえると思うので、結果を出すことが大事」

中嶋監督代行は、これまで1軍で起用しながら結果の出なかった中川を2軍に送り、俊足の佐野にも2軍で両打ちに取り組ませ、経験を積ませるなど、来季を見据えた動きも見せている。一方で、1軍で結果を出している選手に対してはチャンスを与え続けており、その期待に応えているのが杉本、大下の2人だ。そして松本氏は、こうした采配がチームに好影響をもたらしていると強調する。

「中嶋監督代行はこの2人をファームでしっかり見てきているし、起爆剤として置いている。オリックスは若手をいかに使って来季を見据えていくかだと思うし、競争意識をもたらす。チームの士気を高める意味でも、元気印を連れてきたと思う」

そして、一発の可能性がある彼らがレギュラーに定着することで、相手打線へのプレッシャーも増していくと、松本氏は予想する。

「中嶋監督代行は打線を毎日組み替えて、いろいろ模索しているが、今、1、2番は福田、大城が機能していて固まりつつある。4番は吉田正、5番に外国人がいて、6番に安達が入ることもあるが、その後に杉本や木下のような一発を打てる日本人がいると面白い打線になる」

チーム打率は現在リーグ5位タイ、本塁打も打点も同6位のと貧打にあえいでいる最下位オリックス。だが、下位打線に一発の可能性もある打てる野手が加われば、相手バッテリーの警戒度も、増していくはずだ。(Full-Count編集部)

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