この先のオノマトペは

 何かの動きや状態を「音」で表したものをオノマトペ(擬音語、擬態語)という。日本語はことの外、それが豊富らしい。雨の降るさまにも「ざあざあ」「しとしと」「ぽつぽつ」と、いろいろ思い浮かぶ▲一つのオノマトペが、いくつかの意味を持つ場合もある。例えば「そろそろ」は「もうすぐ」の意味と「ゆっくり、静かに」の意味を持つ▲そろそろいい頃だろうかと、ゆっくり、静かに、そろそろと人が動く。きのうまでの4連休を擬態語で表せば、「そろそろ」あたりが妥当だろうか。全国で旅行、帰省、行楽に人の動きが見られたという▲ゴールデンウイークもお盆休みも、人の移動はほぼ止まり、自粛と我慢を重ねてきた。この先、冬が近づけば、インフルエンザと新型コロナの同時流行も案じられる。4連休はその中間、はざまにあったといえる▲「今だったらいい」「今しかない」という思いで動いた人もいるだろう。連休中、長崎市内の観光地を訪ねてみたが、見る限りではマスクをしていない人の姿はなく、気の緩んだ様子はなかった。人が動くことと感染予防とは、両立させられるか-こう問われた4連休でもある▲まだ「こわごわ」が続くのか、防止策をきっちりやれば「のびのび」と動けるか。これから先を表すオノマトペはさて、何だろう。(徹)

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