長崎県内個人消費8~9月足踏み 日銀長崎支店、総括判断据え置き

 日銀長崎支店が11日発表した8~9月の県内金融経済概況は、景気の総括判断について「改善に向けた動きがみられるものの、引き続き厳しい状況にある」と4カ月連続で据え置いた。新型コロナウイルス感染症の影響で、個人消費が足踏みし住宅投資も弱まったため、判断の引き上げを見送った。
 個人消費は7月から持ち直しの動きが続いている。ただ、夏場の感染“第2波”を受け市中への人出が減り、百貨店やスーパー、コンビニ、外食の客足は鈍化。帰省客も少なかった。一方、ホームセンターやドラッグストア、家電販売は堅調に推移している。
 会見した下田尚人支店長は「個人消費は底堅くなってきている」と分析。景気全体の先行きについて「振幅を伴いつつ、ゆっくり回復すると期待している」との見方を示した。
 住宅投資は前回発表時(6~7月)に「下げ止まっている」としたが、「弱い動きとなっている」に下方修正。新設住宅着工戸数が前年を下回っている。持ち家はコロナ禍で商談が滞り、展示場来客数も低調。分譲マンションは昨年まで供給量が増え、販売価格が上昇したが、下田支店長は「一服感がある。すぐ前年比プラスに転じるとは考えにくい」とした。
 生産は「弱含んでいる」と判断を据え置いた。このうち電子部品・デバイスについて、下田支店長は、米国による中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁措置で15日以降、基幹部品の半導体が輸出できなくなる点に着目。「ファーウェイに供給している企業は県内に複数ある。別の企業やスマートフォン以外の供給先にシフトできるか、今後の動向を注視したい」と述べた。
 政府の観光支援事業「Go To トラベル」対象に東京が含まれたことについて、下田支店長は県内宿泊施設(従業員100人以上)の宿泊客の1割強が東京在住というデータを引き合いに「本県にとっては良い話」と指摘。その上で「観光需要が回復するには全国的に感染が落ち着き、県内の受け入れ態勢も整える必要がある」との見方を示した。

 


© 株式会社長崎新聞社