道の駅で目的外の駐車横行 通勤用に使用か 災害時、避難者利用に支障も

目的外の駐車が横行している道の駅「させぼっくす99」(写真は一部加工しています)=佐世保市愛宕町

 長崎県佐世保市の西九州自動車道相浦中里インターチェンジに面する道の駅「させぼっくす99」で目的外の駐車が横行している。同施設は災害時の市の避難所に指定されており、今月の台風接近時には避難者の駐車に支障も出た。関係者は対策に頭を悩ませている。
 大型で強い台風10号が本県に迫っていた7日午前11時ごろ。同施設の駐車場(約90台)は7割ほどが埋まっていた。しかし、施設内の避難所にいたのは3、4世帯だけ。関係者が戸惑いがちに理由を明かした。「実は目的外の駐車が多いんですよ」
 実態を確かめるため、後日の早朝、現場へ足を運んだ。既に駐車場の約4割は車が停まっていたが、施設内の飲食店や休憩所に人影はない。すると、駐車場に入ってきた車から人が降り、先に停まっていた車に乗り込む-という光景がしばらく繰り返された。
 同施設は2016年に開設。市の委託で運営する協同組合によると、早朝から駐車台数が増え、夕方以降、徐々に減っていく。通勤用のパークアンドライドに使われている可能性が高い。常習車両もあり、「多い時には目的外が5割を占める」(同組合)。このため、混雑時には普段使用しないスペースを開放することもあるという。

 台風10号の接近時、避難者が駐車できず、スタッフが別の避難所に誘導するケースもあった。相浦署によると、現場は「道路ではない」ため道交法の適用外。組合と市は入り口に看板を置いたり、夜間帯にカラーコーンを置くなどしてきたが効き目はない。
 佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)もかつて、無料駐車場でこうしたマナー違反の駐車が多かったが、改修を機に有料化し解消された。ただ、道の駅の場合は24時間、誰でも利用でき、使用上の禁止項目も明確ではない。市の担当者は「利用者のモラルに頼るしかない」と手詰まり感を口にする。
 市と共に、道の駅を管理・整備する国土交通省長崎河川国道事務所は「道の駅には多様な用途があり、違反かどうか判別が難しい」。一方で「目的外の駐車」が本来の利用者や災害時の利用を圧迫する事態とならないよう今後も状況を注視していくとしている。

 


© 株式会社長崎新聞社