カヌー東京五輪K-4日本代表 水本圭治(チョープロ) インタビュー 前向きに進んでいる K-1の出場権も取りたい

五輪代表として過ごしたこの1年を「充実していて、すごく短く感じた」と語る水本(チョープロ)=長崎新聞社

 カヌー・スプリント男子カヤックフォア(K-4)500メートルで東京五輪日本代表の水本圭治(チョープロ)が、日本選手権(9~13日・石川)を終えて長崎新聞社など県内の関係各所を訪れた。日本選手権は2種目に出場して、カヤックシングル(K-1)1000メートルで2位。K-4.500メートル(参加1チーム)は日本代表メンバーで漕ぐ約1年ぶりの実戦だった。大会の感想、自身の現状などを聞いた。

 -仕切り直しの本番まで1年を切った。今の心境や状態は。
 1年をすごく短く感じている。五輪出場を決めた昨年8月から、今年の8月を目標にやってきた。春に五輪の1年延期が決まった時「この1年間で、いけるところまでいきたい」と言ったが、もし今年、五輪があったとしたら、目標のメダル獲得を達成できただろうか…と思う。一方で状態としては順調。かなり充実している。会社のバックアップや周りの応援のおかげで、前向きに物事が進んでいる。

 -日本選手権で昨年まで2連覇していたK-1.1000メートル。2位という結果は。
 今季は500メートルの練習しかしてこなかったので、2位に入れて良かった、というのが正直なところ。1000メートルを全力で漕ぐのは昨年9月の日本選手権以来。K-1.1000メートルは、1レースの時間がK-4.500メートルの約3倍かかる。1日に準決勝、決勝の2レースは、疲労もあって途中で心が折れそうになったが、最後まで漕ぎ切れた。

 -あえて1000メートルに出た理由は。
 五輪はK-4メンバーの中から、K-1(200メートル、1000メートル)も出られる。選考方法はまだ把握していないが、K-1の1000メートルも狙いたいという意識がある。あと、現状にとどまらず、日本全体の競技力を上げていきたかった。レースで優勝した棚田大志(奈良・吉本整形外科・外科病院)は、大卒1年目で1000メートルがメイン。彼の調子が良かったので、レース前から差はあるかなと思っていたけれど「これから頑張ってほしい」という意味を込めて全力で勝負した。棚田もそれに応えてくれた。

 -K-4の手応えは。
 実戦は五輪の出場権を取った昨年8月の世界選手権ぶりだった。出場は1艇だけでも、注目されているので「恥ずかしいところは見せられないね」と、全員で(持ち味の)ラストスパートを上げるようなペースを心掛けた。感覚的には力を入れるポイントはそろっていたように思うけれど、関係者からは「意外とバラバラだった」と指摘を受けた。

 -本番まで約11カ月。何を詰めていくか。
 今年はシングルの練習が多かったので、今大会は各自がシングルの漕ぎでK-4に乗ったような感じがした。4人それぞれが昨年と違う漕ぎになってきた気がする。それをどう合わせるか、意思統一を図らないと。

 -五輪の目標は「K-4でメダル」と言ってきた。K-1については。
 出られるチャンスがあるなら、生かしたい。1000メートルは体格的に日本人じゃ無理だろうという見方がある中で、そこを打破したい。日本人は1000メートルも世界に通用すると表現できたらと思っている。

 【略歴】みずもと・けいじ 岩手県出身。不来方高でカヌーを始め、3年時の全国高校総体(インターハイ)で4冠を達成。2010年広州アジア大会スプリントカヤックペア200メートルで金メダルを獲得した。日本選手権は昨年までカヤックシングル500メートル4連覇、1000メートルV2。12年から長崎県スポーツ専門員を務め、17年からチョープロに所属。176センチ、83キロ。

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